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過疎ゲーが現実化して萎えてます。  作者: ペリ一
本編

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43/338

実質ガチャ

投稿遅れました!すみません!







 時は少し遡る。



「じゃあ、僕は会議に出なきゃいけないから」


 アルザは東京でとある四人組みに目を付け、他の幹部に無断で自らの個人研究室へ連れ帰っていた。


「了解ー」


「やけにノリが軽いな……はあ、研究道具にはあまり触るなよ?これは僕ではなく君達の事を思っての忠告だ。僕が戻るまで大人しくしていること。いいね?」


 アルザはそう言った後、部屋から出て行った。




「よし。ちょっと外出てみようぜ」


 そのモータルの宣言に、他の三人――ライカンスロープと、江藤、遠山が目をむいた。


「モータル!お前、何考えてんだ!?力量差くらい測れるだろ!?」


「そうだぞ、モータル君。今我々にできるのは従う事くらいだ」


 ライカンと江藤が口々にモータルを諌める。

 だが、当のモータルはそれらを気にも留めず、アルザの出て行った扉の前へと歩いていった。


「トイレ行きたかったとか何とか言い訳すりゃいいだろ」


「モータル君。全体的に雑すぎると思うぞ」


「なあコレ何だと思う?やっぱ暗証番号的なやつかな?」


 まるで話を聞く様子の無いモータルに、三人ががっくりと項垂れる。

 そして、遂に観念したのか、モータルの周囲に集合した。


「……暗証番号、だな」


 モータルの指差す機械のようなモノを見たライカンが唸る。


「アルザが入力したのを見たり、とかは?」


有佐ありさ。やめておくんだ。モータル君なら思い出しかねない」


 東京で出会い、共同戦線を張った二人の内の一人、遠山とおやま有佐ありさが江藤の言葉に少し拗ねたような表情になる。


「江藤さん、あんまりモータルを人外扱いしちゃ可哀想でしょ」


「いや、まあ。うぅむ」


「多分だけど、24通りに絞れたから総当りしていいか?」


 唐突なモータルの宣言に、三人が呆気に取られる。


「……訂正。やっぱモータルは人外」


 有佐が、そうポツリと呟いた。









「ガチャでSSR引くよりはちょろかったな」


「いくら絞れてたとはいえ一発で成功って……」


 現在モータル達は、魔王軍本部の廊下をそろりそろりと……ではなく、堂々と進んでいる最中であった。



 ライカンが人狼モードのまま歩いて、俺達がその後ろについていく。もし誰かとすれ違ったら「お疲れ様です!」とか何とか言ってお辞儀でもしてスっと通り過ぎればいい。


 言わずもがな、モータルの案である。

 

 勇気も過ぎれば無謀であるとは正にこの事であるが、幸いな事に、モータル達は今現在、誰ともすれ違っていない。


「それにしても変じゃない?人っ子ひとり居ないなんて」


「いや、人自体は居る。俺の嗅覚にビシバシ伝わってくる。ただその殆どが室内で作業か何かをやってる」


「会議つってたし忙しいんじゃね?お、コレ裏口か?」


 モータルが、目に付いた通路へと勝手に先行する。


「モータル、勘弁してくれ。臭いはしないが、もし開けて中に人がいたら……ああっ!?」


 躊躇無く扉を開けたモータル。


 しかしてそこには、庭のような風景が広がっていた。


「ビンゴ。あの柵を見ろよ」


「……出れそう、だな」


「しかし、だ。モータル君。出た所でどうする」


「観光でもしようかな、と」


「……!?!!?」


「こんだけ本部が手薄って事は別の何かに手を取られてるって事だろ?だからそれを見極める為にも色々と見て回る」


 モータルはそれだけ言うと、柵へ向け一気に駆け出した。

 位置的には窓等から視認されてもおかしくないが……


「……勇者という存在があるとすれば、彼のような存在なのかもしれないな」


 江藤はそれだけ呟くと、ふっと微笑み、モータルの後を追った。

 そして他二人も、それに続いた。










 少し瘴気の漂う森の中を駆ける影が四つ。


「ところでモータル君。先ほどは聞きそびれたのだが」


「ん?」


「何故、暗証番号を……24通り、だったか?そこまで絞れたんだ?」


 モータルは足を止めずに答えた。


「ダニが、居てな。この世界にも居るんだなぁ、と感心した」


「……ダニ?」


「多分普段は使わない部屋なんだろうな。メインの研究室じゃないのかも。だから、あの部屋は汚いし、埃っぽかった。そして、あの暗証番号のスイッチ部分にダニ、みたいなのが居た」


 モータルの話の真意を掴みきれず、困惑顔になる江藤を余所に、モータルは続ける。


「部屋を長時間暗くすると分かるんだけど、キーボードやマウスとかってダニの温床なんだよな。どうも手垢を食ってるみたいで、よく使う箇所ほど、ダニが多くなる・・・・


「……!もしや、モータル君……」


「四つのスイッチの箇所だけ異様にダニがたかってた。まあ厳密にはどこかで同じスイッチが押されるだけで五桁の暗号……まあアレ数字じゃなくて変な文字だったから不適切な言い方かもしれないけど、とにかく、四桁では無い可能性もあったから本当に24通りとは言い難かった。まあ実際は四桁だったけど」


「は、はは……そんな、方法で……」


 ある程度の当たりはつけられているとは言え、モータルはこう言っているのだ。ただ運が良かった、と。


「勇者というべきか無謀な愚者というべきか……」


 江藤の言葉に対し、モータルはただ肩をすくめるだけだった。











「かなり歩いたし休憩しない?」


「……んー……」


 それから更に時間は経過して、数時間後。


 流石に疲労の色が見え始めた三人の様子を見て、モータルが立ち止まる。


「もうちょっと進みたかったけど……まあ体調崩しちゃ元も子も無いか」


 そうやってモータルが今後の予定をブツブツと呟いていると、有佐が唐突に素っ頓狂な声をあげた。


「あ!あれ!」


「……おお、いいね」


 有佐の視線の先にあったのは、打ち捨てられた山小屋のようなものであった。


「ライカン。人の気配は?」


「んー、居ないな。ここ最近で人が来たかどうかまでは、この距離じゃ分かりかねるが」


「ふむ……とりあえず見てきてくれるか?」


「あいよ」


 モータルの指示に従い、ライカンがその山小屋へと駆け、中へと入る。


 しばらくした後に、ライカンが小屋から顔を出し、おおきく腕で丸を作った。


「よし。行こう。あそこで何分か仮眠を取る」


「分かった。良かったな、有佐」


「……あんまり子供扱いしないでよ」


 そんな微笑ましいやり取りをする江藤と遠山を、モータルはどこか羨ましげな表情で見つめていた。

 






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