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進む状況と、進まない意見交換

「タカ、そろそろ閉じて」


 うげっ、マジか。

 俺が帰宅したら説教くらうって事ぐらいしか情報得てねぇぞ。


「もう来るよ」


「分かった、分かった」


 掲示板魔法を閉じる。


 しばらくすると、エリーさんが三人を引き連れてこちらに駆けてくるのが見えた。


「連れてきました!」


「えーと、事情はもう話した?」


「はい!」


 表情をチェックするが、取り乱した様子はない。

 好都合……って程でもないか。

 あまりに関心が薄いと協力させづらい。


「スルーグさんは?」


「あー……ちょっと待ってくれ」


 逆にスルーグは取り乱しすぎなんだよな。

 過去に何かあったのかもしれん。


「スルーグさーん、もういいですか?」


 そう言うと、中から返事があった。


「うむ。もう、大丈夫じゃ」


 落ち着いた声音だ。


「入っても良いですかね?」


「構わん」


 スルーグさんの言葉を待ってから、扉を開ける。

 中では、スルーグさんが落ち着いた様子でベッドに腰掛けていた。


「すまんの、外で待たせて」


「いえ。大丈夫ですよ」


 俺に続いてモータルとエリーさん達が入ってくる。


「お前達、話は聞いたか?」


 全員がこくりと頷く。モータルが一瞬遅れて頷いた。いやお前はいい。


「そうか。では……」


 俺の方を見るスルーグ。

 え? やっべ、完全に気を抜いてた。えーっと、何だっけな。


「…………明日だ。明日までに魔女に会いに行くが、構わないか?」


 運び屋にはハードスケジュールだろうが構わん。

 賃金を上げといてやれば文句は言うまい。


「なんならワシらは今日でも構わないぞ」


「スルーグ焦りすぎ。流石にうちらも準備あるって」


 スルーグが不満げに唸る。


「何を用意したってまだ殺せぬ。意味があるとは思えん」


「あー、スルーグさん。悪いが、交渉の札が届くのが明日なんだ。それを待ってから出発という形になる」


「そうか。連絡はどうとる?」


 それを告げようとして、俺はふとある案を思いついた。


「レオノラの研究棟に泊まらせてもらえば良いんじゃないですかね?」


 ピシリ、と空気が凍るのを感じた。

 やべぇ、やっぱまずいか。


「そ、それはタカさんと同じ部屋で寝泊まりという事ですか……?」


「いや部屋は違いますけど」


「えっ」


 えっ、じゃないよ。当たり前でしょ。


「部屋はいっぱいあるので、一人一部屋でいけると思いますよ」


「そうですか……」


 エリーさん……怖いよ……。

 流石に鱗すりつけられながら寝るほどの胆力は俺にはないよ。


「レオノラの研究棟はどこか分かってますかね?」


「む。まぁ、一応把握しとる。ワシの別名義でゆるめの回廊の術を施術したしの」


 マジか。


「他の方々は?」


「ワシが案内するから平気じゃ。いつ頃向かえばいい?」


「そちらの都合の良い時間帯でどうぞ」


「分かった」


 さて、他に伝える事は……無いな。

 掲示板でもうちょい皆に相談したいし、早めに研究棟に戻ろう。


「じゃあ俺達はこれで。帰るぞモータル」


「了解ー」


 俺は、モータルを連れてその場を後にした。







 数分後、特に迷うこともなく研究棟に着く。


「ただいまーっと」


 扉を開けると、小ビンを複数抱えて部屋を通り抜けて行く、アルドくんが居た。


「あっ」


「えっ」


 おいおいどうした。


「なんで居んの」


「いや、ちょっと依頼でな。俺もフォウムもよく分かってねぇんだけど、液体を作らされてる」


 液体? ……殺虫剤か?


「頑張ってくれよ」


「ん? お前も関係あるやつなのか? これ」


「詮索しない方が身のためだと思うぞ」


「……今から依頼破棄って」


 俺は無言でにっこりと微笑んだ。


「はぁあああああ……割が良過ぎるとは思ったんだよなぁ……」


「間違いなく善行ではあるから安心して励め。てかうまくいったら普通に教えてやる」


「いや、それさぁ……まぁいいや。はいはい、全力で遂行させていただきますよ」


 流石アルドくんだ。理不尽耐性が高い上にお人好しで話を断れない。


「じゃあ、またな」


「ああ、またな」


 状況が切迫していなければ、もう少し話し込んだのだが、今はそれどころじゃない。

 俺はアルドくんに別れを告げると、自室に戻り、掲示板魔法を起動した。



タカ:皆さん、意見は用意しましたか


ジーク:敵陣でだいばくはつ


タカ:嫌です


ほっぴー:実際最大火力だし……


タカ:暴力以外の解決法を探してください


ジーク:じゃあ詰み


ガッテン:お前の話術でなんとかしろよ


タカ:いやまぁ最終的にはそれなんだけどさぁ


ほっぴー:言葉も実質暴力みたいなとこあるし喋りもアウトでは


タカ:嬉しいか? 人の揚げ足取って


ほっぴー:後頭部にブーメラン生えてますよ


ジーク:最近、ブーメランが不作で心配してた。ありがとう


タカ:ぶっとばすぞ


スペルマン:エロ漫画渡してみようよ


タカ:お、シンプルなバカが来たな


ジーク:草


ほっぴー:笑うわ


ガッテン:ひっでぇ発想だなぁ


スペルマン:感度3000倍の薬とか普通に作れそうじゃん


タカ:作れたらなんなんですか????????


スペルマン:飲ませよう


タカ:戦力差3000倍でそんな事できると思いますか???????


ジーク:戦力差3000倍すき


ガッテン:数値が絶望的すぎる


ほっぴー:実際そのくらいあるんだよなぁ


スペルマン:確かに飲ませるのは無理があった、ごめん


タカ:ん?


スペルマン:でも、価値観ブレイクは狙えるかもしれない


ほっぴー:お、なんかそれっぽい事言い出したぞ


ガッテン:ブレイク後が地獄すぎるからやめろって話だったのでは……?


タカ:せやぞ


スペルマン:いや、愛に目覚めるかもしれないよ


タカ:あいつなりの愛に目覚めた結果が平等な殺し合いとかいうアレなんですが


スペルマン:ちょっと待って


タカ:では会議を終了します、お疲れ様でした


ほっぴー:草


ジーク:ちょっと待たないのすき


スペルマン:ま、待って、見つけたから待って


タカ:何をだよ


   スペルマンが退室しました


砂漠の女王:こんばんは


ジーク:こんばんは(天下無双)


ガッテン:こ、こんばんは……


ほっぴー:うーん、これは妥当!w


タカ:定期的にBANされないと気が収まらないのアイツ


砂漠の女王:最近、サイクルが縮まっていますので、次からはBANに加え身体に電流を流します


ジーク:草


ほっぴー:草


タカ:草


お代官:健康に害がない程度に頼むぞ……?


ガッテン:止めはしないんですね……


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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回も十傑チャットが面白すぎる。 [一言] スペルマンの案というか魔女に対しての攻め方は良い線行ってると思いますね。 もしかして、「色んな種族に平等な状態で話し合ってもらうこと」に方針変更…
[良い点] 笑い死ぬwww [気になる点] スペルマンの案が成功した世界が気になる BL百合の世界になったり、感度3000倍の世界になったりしそう(地獄
[一言] 相変わらず草
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