レイドボスと萎えは突然に
たまにはタイトル回収
スペルマン:一仕事終えた後の一服は最高だぜ……
ガッテン:お前ら何やってんの!?命懸けでレイド戦してたんじゃないのかよ!?
タカ:カーリアさんえっろ
七色の悪魔:避難所の戦闘要員達の士気が上がりました。ありがとうございます
鳩貴族:カーリアに何かこの災害についての詳細は聞けたかね?
ほっぴー:あっ……
スペルマン:あっ……
ジーク:ええ……
ガッテン:お前らほんと何やってんの!?
鳩貴族:明らかに貴重な情報源ですよね……何故情報を引き出そうとしないんですか……
鳩貴族:それはそれとしてカーリアさんのあの動画にはお世話になりました
ジーク:素直すぎる
ガッテン:お世話になりましたじゃないが
タカ:というかどうやってあんな動画撮影したんだよ
ほっぴー:丁寧に諭した
ジーク:嘘付け絶対あの手この手で陥れてるぞ
スペルマン:彼女が自分の魅力に気付くよう導いてあげた……ただそれだけさ
ジーク:スペルマンさんははやく原稿書いて
「うっわ……ここのシーンとかモロあれの隠喩じゃねぇか……あいつら後でバレて殺されるんじゃねぇの」
倉庫の中でいつもの如くグールの腹を枕にし、例の動画を閲覧するタカ、と、その弟子二人。
「やばいッスね……こんな綺麗な人初めて見たッス……」
「師匠の動画だと画質荒くて分かり辛かったからなー」
「仕方ねぇだろ。うわ、ダブルピースはやべぇよ……何やらせてんだ……」
口では否定しつつも鼻の下は伸びきっているタカ。
それは二人の弟子も同じだった。
至福の時間。そんな時間に水を差す一つの通知がとんできた。
ほっぴー:お前住所教えろや
これが他の十傑であれば無言でブロックしていたかもしれない。だが相手はこの伝説のカーリアちゃんPR動画の発案者である。流石のタカも無下に扱う訳にはいかなかった。
「すまん、動画一旦停止するぞ。つーかお前らの方のスマホでチェックすりゃいいじゃねーか。なんで俺のスマホで見てんだよ」
「それもそうッスね」
「そうだな」
「おう、散れ散れ」
去っていくマサルとベガを横目に、ほっぴーとの個チャを開く。
タカ:どうした?
ほっぴー:いや、明らかにレイドボスの出現に偏りがあると思って。やっぱ俺ら固まった方がよさげじゃね?
ほっぴー:とりあえずどの県?
タカ:あー
タカ:まあいいか。千葉だよ
ほっぴー:あー……
ほっぴー:まあ俺の初期の魔物、ケンタウロス・アマゾネスだったし、乗馬がもうちょい上手くなればワンチャンある距離か
タカ:は?お前ケンタウロス・アマゾネス当てたのかよ死ね
ほっぴー:待て、早まるなよ。ブロックにはまだ早い
タカ:分かってるよ。流石に俺も危機感抱いてるし
ほっぴー:なんとかスペルマンが騎乗する用の魔物を確保してそっちに行きたい。位置情報が欲しい
タカ:まあ来てくれるんなら
タカ:【位置情報データ】
ほっぴー:助かる。最悪、魔狼に乗らせてでも行くわ
タカ:あいよ。紅羽にも言っとくわ
ほっぴー:おう。じゃあ出発するときは教えるから
「あんの変態プレイヤーとエロ漫画家がこっちに来るのか……」
酷い言い様だが、これがまた的を得ている表現なのだから始末が悪い。
スキルを入れ替え臨機応変に対応する、と言えば簡単に見えるが、実際にそれを行うには異常な程の「場の空気を読む力」が要求される。
時にはアタッカー、時にはヒーラー、時にはバッファー。状況に応じて不足した役割へと自らを変えるプレイスタイル。それを平然とこなせるような人間は、紛れもなく変態であろう。
「あ、師匠」
ゲームが稼動していた当時のほっぴーの変態プレイングを思い返していると、ベガが唐突に声をかけてきた。ちなみにマサルの方は空き家を探しに行っている最中である。
「どうした」
「フェアリー狩り……そろそろ行った方が良いんじゃないッスかね」
「ああー……そうだな。やるか」
グールの腹のぐにぐに感を名残惜しく思いつつも立ち上がる。
さて、実は目をつけてた洞窟があってな。どうも巣になってるみてぇだからカチコミ入れるぞ。マサルもおっさんも呼んで来い。
「主殿と共にまともに狩りをやるのは久々な気がしますぞ……」
「あーあー、悪かったよ。ほったらかしにして」
弟子二人におっさんを引き連れて閑散とした道を行く。目指すはフェアリーの巣と思われる洞窟である。
ちなみにグールは機動力が無いので今回はお留守番だ。
「お、見えてきたな。あの山の裏だよ。妙な穴が空いててな。そこにフェアリーが食料抱えて入っていくのを見たんだよ」
「……アレが諸悪の根源って訳ッスね?」
諸悪の根源はこの世界に侵攻かけてきてるっぽい魔王とやらだと思うが……まあいい。とにかく目先の目標を見つけてやる気が出せるってのは良い事だ。
俺に至ってはちょっとモチベ下がり気味だもん。
「じゃあ作戦についておさらいするけど……」
そう俺が口を開いた瞬間、妙な風と、ヘリのプロペラ音が耳を撫でた。
「師匠、アレ……」
「もしかして自衛隊のヘリか?」
見れば、自分たちの目的地付近を飛ぶ、自衛隊の物らしきヘリ。
「すげぇッス。俺はてっきり救助活動なんて諦めてるのかと思ってたッス」
立派な事だ。でもなんか獲物横取りされた感あってむかつくな。
タカがそんな不謹慎な思いを抱く中、それは起こった。
ヘリが突如として、解体されたのだ。
「……はあ!?」
「ちょ、えっ……なんスかアレ!?何が起こったんスか!?」
そこでようやく気がつく。辺りを吹き抜けている、妙な風に。
ヘリはまるで見えない何かに切り刻まれたように解体されていった。
これが示す事。それは――
「渦風魔シルフィード。まずいな。この面子じゃ余裕で全滅だ」
「かふうま……?」
「主殿でも敵わない相手……!?」
馬鹿言え。レイドボスだぞ。ああいうのは基本的に少人数で戦うように設定されてねぇんだ。
現段階じゃPTがたったの四人な上に全員が短剣の物理アタッカー。バランス悪いどころの騒ぎじゃねぇよ。
「という訳で。言わずとも分かるとは思うが……」
全力で拠点まで撤退ね。
タカがそう言うが早いか、四人の短剣使い達は逃げ出した。
タカ:拠点放棄すっかも
ほっぴー:は?
ガッテン:どうした
タカ:いや、やべーレイドボスに遭遇してな
タカ:シルフィード
ほっぴー:負けじゃん
ガッテン:特性に魔力体あるやつだっけ
タカ:そうそう。物理半減はキツい
スペルマン:俺とほっぴー氏が合流したら何とかなったりするか?
タカ:うーん。お前らの魔物次第だな。つーかスペルマン、初期魔物晒せや
ほっぴー:魔物なら魔法アタッカー手に入ったからいけるぞ。ドラドラ討伐で手に入った天の石から出た
タカ:ほう。言ってみろ
ほっぴー:ペリ。いやぁ、ここでSRを引く俺の運命力よ!
タカ:殺すわ
ほっぴー:おいやめろ早まるな
スペルマン:そうだぞ。俺もそれに触発されて引いたら単なるドラゴンが出たんやぞ
タカ:マシな方じゃねぇか。で?初期は?チュートリアル石で何引いたんだよお前ら。はやく晒せや
ほっぴー:ケンタウロス・アマゾネス
スペルマン:時の呪術師
タカさんが退会しました
ジーク:草
ガッテン:ねぇ緊急事態じゃないの!?なんで内ゲバ始めてんだよ!?
ほっぴー:正直すまん
スペルマンさんがタカさんを招待しました
タカさんが参加しました
タカ:萎えるわーーーーーーー!!!!あーーーーーーー!!!!萎えるーーーー!!!!!!!