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説教のお時間


Mortal:タカ、そろそろこっち来れそう?


タカ:おう


タカ:今から出発だ





「さて、準備はいいか」


「あうー」「万端です」


 バンシーが元気良く拳をつきあげ、おっさんが恭しくお辞儀をする。

 ふむ。


「じゃあ、出発だな」


 自室のドアを開け放ち、いざ避難民の元へ――



「お兄ちゃん。どこに向けて出発するわけ?」


「あっ」


 やっば。


 俺は咄嗟に言い訳を並べ立てようとしたが、成す術もなく妹の部屋まで来させられ正座をさせられた。


 

「あのさ。なんで家族に一言断りを入れないの?私がいっつもお父さんとお母さんにどう報告したら良いかで頭悩ませてるの知ってる?」


「いやほら状況が状況ですし」


「そうだね。敵に捕まって、そして何故か帰ってきて、部屋でごろごろしてたね。いつ報告にくるかなーって待ってたんだけど」


 ぐぅの音もでねぇぜ!


「あの、何故我輩まで正座を……」


「蝙蝠屋敷の主さんならお兄ちゃんを止められたんじゃないんですか?」


「……う、うぅむ」


 おっさんが正座のまま渋い表情になる。

 何を勘違いしたのか隣で正座をしているバンシーがおっさんの肩をポンと叩き、ゆっくりと首を横に振った。バンシーちゃんはかわいいなぁ。


「はぁー……私難しいこと言ってないよね?」


「そうだな。分かった」


 あまり気が乗らないが、仕方ない。


「一時的に十傑のグルに入れよう。それならログ見てるだけで状況がつかめる」


「……なにそれ?」


「いやほら、俺が暇なとき雑談してるとこ」


「ああ……じゃあもういいよそれで」


「よし」


 許可が降りたので早々に出発した。











タカ:途中経過


タカ:とりあえず空き家で一泊


青木 薫:その報告を先にこっちにしろって言ってたんだけど


タカ:ごめんなさい


ジーク:ぐぅ正論


タカ:ちょっと待てお前


タカ:本名やんけ


タカ:やめろ


タカ:カオルとかにしとけ


青木 薫:そうなの?


タカ:砂漠の女王さーーーーーーん!!!!!!


砂漠の女王:はい


タカ:名前カオルに変えてくれ


砂漠の女王:はい


カオル:よし


カオル:良くねぇ!!!!!俺じゃねぇよ!!!!!!


ほっぴー:草


ガッテン:草


紅羽:草


青木 薫:きも


ジーク:草


カオル:きもくねぇよ!!!!おい!!!!!


カオル:砂漠の女王!!!!!!


カオル:様!!!!!!


ジーク:取って付けたような敬称すき


カオル:元に戻して!!!!!!!


砂漠の女王:はぁ


タカ:戻ったか?


タカ:よし


タカ:んで青木薫をカオルに変更よろしく


砂漠の女王:最初からそう指示してくださいまし


カオル:なんかうちの兄がすみません


砂漠の女王:いえこの程度はまだ序の口ですので


カオル:そうなんですか?


砂漠の女王:はい


タカ:いいえ


ジーク:はい


ほっぴー:はい


ガッテン:はい


タカ:おいてめぇら


ジーク:なんと!タカと関わった約八割の方から「はい」とのお声を頂きました!


ほっぴー:残り二割はタカに闇討ちされて回答できなかったのかな


ジーク:タカの複垢でしょ


ガッテン:草


タカ:濡れ衣やめろォ!


タカ:てかお前らがはやしたててるだけで俺はそこまでやべぇ事はやってない


カオル:ほんと?


カオル:異世界で窃盗はたらいたってシャノンから聞いたけど


タカ:あ


タカ:まぁ、はい


ほっぴー:はいじゃないが


ガッテン:レスバ負けるのはやすぎない?


ジーク:エース並にレスバ弱い


スペルマン:タカは敗北者じゃけぇ……






「こいつら……!」


「いかがされました?主殿」


 いや、いつもの事だ。問題ない。落ち着け。

 俺はふぅと息を吐き、バンシーちゃんのお腹を枕に寝そべった。

 チラリと掲示板を再び確認すると、妹が他の十傑どもと雑談しているのが見て取れた。

 まぁ邪魔しないでおいてやるか。俺が参加すっと煽り合い始まって会話どころじゃないし。


「そういや、オークエンペラーは女を返す気でいるらしいが……どう思う?おっさん」


「ふむ?そうですね、あまりにこちらが有利すぎる印象は受けましたが……滅ぼされかねない事を考えるとそこまで必死になるのも当然やもしれません。まぁ繁殖は禁止ではなくこっちの許可無しにはしないという条件だったのが少し引っかかりましたが」


「ああ……」


 許可を取る算段があるって事なんだろうか。

 なかなか考えづらいケースだが、わざわざそういう言い方をしてきたならいくらか策は持ってるはずだ。


「あまり突っぱねすぎて追い込むのも本意じゃないし、言われずともいつかは許可を出す気ではあるだろうけど」


「そうですかね?砂漠の女王がそこまで配慮するとは思えませんが」


「お代官さんなら配慮する」


 俺の言葉をうけ、顎に手を当て少し考える素振りを見せるおっさん。

 普通に様になってるので腹立つ。


「まぁそこ一点狙いってのは無いでしょう」


「だな」


 まぁどうあれ敵対は考えづらい。

 適度に利用し利用される関係でやっていきたいもんだな。


 掲示板も会話も一段落ついたあたりでふわりと睡魔が舞い込んできた。

 明日も早いしもう寝るか。


 俺はその眠気に身を委ね意識を手放した。



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