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文明の利器の力

ブクマ100件突破!

ありがとうございます!


……記念に感想やら評価やらくれてもいいのよ?









「事情を話したらOKが出たぞ」


 倉庫の中でトランプをやっている盗賊共に朗報を届けてやった俺はグールのお腹を枕に寝そべった。つーかこの空間に男三人とかむさい事この上ないな。


「あ、あの俺あんたの「師匠と呼べ」……師匠の事情一切聞かされずにここまで来たんスけど」


「え?マジ?そうだっけ?」


 事情も聞かずに付き合ってくれてたのかよ。優しいなあ。


「だって拒否権無いって言ったじゃないッスか……」


「まあ、そうだな。仕方ない。事情を説明してやる……っと、その前にお前らの名前教えろ」


「俺は日野ひのまさる。んでこっちが俺の後輩の……」


「いいッス、先輩。自分で言うんで。……はあ……俺の名前は星野……ううっ」


「大丈夫だ、無理して言わなくていいぞ」


 え?何?なんでえづいてんの?何かあるの?


「……星野、輝星ベガ、です……」


 おぉう。キラキラネームかよ。大変だったな。


「俺はタカだ!そんじゃあこれからよろしくな!マサル、ベガ!」


 ベガくんは泣いた。











タカ:弟子、ゲットだぜ!


ガッテン:マジかよ


七色の悪魔:アドバイスは役に立ちました?


タカ:そりゃもうバッチリ。悪魔さんありがとね


七色の悪魔:いえいえ


ガッテン:つーかそろそろ自分の住所晒し合わね?もしもの時があるしよ


ジーク:すごくいやだ


ガッテン:わがまま言うなや!いいか!?今自分が死んでもこの中の誰にもその事が伝わらないんだぞ!?


Mortal:お前ら掲示板使え


ジーク:やーだ


ガッテン:やだやだじゃ世の中渡ってけねぇんだよ分かってんのか!?


Mortal:だからそのやり取りも掲示板でやれっつってんだろ


タカ:パスが違うって出るぞ


ジーク:タカ氏は嘘がうまい


タカ:おいてめえ何バラしてんだ


Mortal:そうかそうか、つまり君はそんなやつなんだな


スペルマン:ねぇやばい


ガッテン:大丈夫?


スペルマン:強めのレイドボスだこれ。この中で誰か埼玉住みいねぇか


ほっぴー:お?


スペルマン:個チャで住所送るから来てくれ。なんか近付いてきてるっぽい


ほっぴー:じゃあ行くわ。どのくらい強い?てか種類わかんないの?


スペルマン:ああ。俺、若干のデバフかかってるっぽいしまずいかもしれん


タカ:え?レベル上って事か?


ガッテン:いや恐慌のバッドステータス食らってたらこんな呑気にチャット出来ないだろ


ほっぴー:じゃあ単純なデバフ?


スペルマン:おう


タカ:ドラムドラゴンだな。


ほっぴー:ドラドラか。キツいな。俺の作ったゴブリン軍がまるで無意味じゃん


タカ:そんなもん作ったのかお前……


ガッテン:ほっぴーじゃキツいだろ。ジョブ、どうせジェスターなんだろ?


ほっぴー:タンク仕様で行ってやるよ


スペルマン:俺デバフとバフしかうてないぞ


タカ:俺が行こうか。間に合うか謎だけど。石をくれたらドラゴン系引いて飛んでいけるはず。石くれ


ほっぴー:まあいい。ゴブリン軍使い潰す気で行く。待ってろスペルマン


スペルマン:イケメンすぎ惚れるわ










「いいなぁ、レイドボス」


「……レイドボスって何スか?」


「君らが一撃で殺されるようなモンスター」


 俺もだけどな、と付け足すとベガくんはぶるりと震え呟いた。


「どうなっちゃったんスかね……この世界」


「さあな。まあネットが機能してる辺り政府もそれなりに頑張ってるみたいだが……」


 その言葉の続きは口には出さない。

 まだゴブリンや魔狼などの、最初のステージの敵しか出てきていない等と、どうして言えようか。

 ベンケイや先程情報のあったドラムドラゴン、通称ドラドラは例外として。


 不安そうにしながら俺の後ろを付いてくるベガ。

 さて、そろそろか。


「避難所はあそこだ。じゃあ、なんとか上手いこと言っといてくれ」


 通路の先の方を指で示すと、頷き進んで行く。それに続いてマサルも避難所の方へ向かう。


「師匠」


「どうしたマサル」


「本当に、人間の味方、なんだよな?」


「まるで俺が人間じゃねぇみたいな言い方やめろ。当たり前だろうが。俺は人間もその人間が作るモノも好きだ」


「分かった」


 失礼な奴め。俺はフン、と鼻を鳴らすとその場を後にした。












 静まり返った道を歩く。


「おかしいよな、やっぱり」


 俺があの弟子共に付き添ってやったのはこの為だ。感じた妙な胸騒ぎ……これは。


「誰か、見てるのか?」


 途端、バサリという音と共に妙な女が俺の前に舞い降りた。

 コイツは……あー、ストーリーでなんか見た。


「よく気が付きましたね」


「はは、簡単だ。何故魔物が全く居ない?」


 俺の違和感。その正体は耳が痛くなるほどの静寂だ。数日でこんな事になるなんて考え――


「いや、それは貴方が周囲の魔物を狩りすぎたせいだと思うのですが」


 二人の間に沈黙の時間が訪れる。


「……と、まあ冗談はさておき、何の用かな?」


 声に多少動揺の色が出たが仕方ない。

 マジかよ。偶然かよー。


「端的に言いましょう。その練度、そして命を狩る事への躊躇の無さ。我が魔王軍に相応しい」


「勧誘って事か?」


「そうなります」


「命を狩る事への躊躇の無さ、ね。はー、その口説き文句で何人堕とした?」


「……」


「その躊躇の無さは当人の才能じゃねぇだろ?おそらくだが、魔法陣を俺らの頭にインストールした奴がそれにプラスして生命奪取への忌避感緩和をインストールしたから。違うか?」


「……ええ。そうです。なかなか頭がキレるようですね」


「ばーか。こないだまでニートだった奴らが嬉々としてあんな化け物を殺し始めたんだぞ。どう考えても異常だろうが。何かあると勘繰って当たり前だ」


「想像以上です。是非我が魔王軍に来て頂きたい。貴方ならかなりの好待遇で……」


「保留だ。俺は勝ち馬にしか乗らない。そんな搦め手を使ってくる程余裕のない軍にはつきたくねぇな」


「保留、ですか」


「おう。次の一手を見てやる。それ次第だ」


「……分かりました」


 そう言うとその女__魔王軍幹部のカーリアは来た時と同じように風のように颯爽と姿を消した。


「……」


 そして、俺はその姿を見送った後、先程までの様子を録画した動画を添付し、ツイッターで拡散した。



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― 新着の感想 ―
軽過ぎず重過ぎずそれでいて読みやすい作品で好き。 ネットに拡散するオチで声出して笑いました。
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