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もう一つの領域

連日更新開始のお知らせだゴラァ!







「京都の避難所とどういう繋がりがあるんだ」


「……保護してもらっていた」


 保護?ドラゴノイドを?


「立ち話で済ませられる内容じゃなさそうだし……そうだな、どこかの空き家にでも入ってからじっくり聞かせてもらおうか」


 そう言って他の3人に目配せで確認を取ったあと、空き家探しへと移行した。






 ひとまず一泊出来そうな空き家を発見し、俺含む5人をその中の一室に集合させた。


「まずお前が京都の避難所に保護された経緯を教えてくれ」


「……ああ、俺は魔王軍のドラゴノイド部隊の一人で、人間側の……特級?だとかいうやつに俺の所属する部隊を壊滅させられて逃げてきた」


 ふむ。


「まぁ、逃亡したは良いが体力も魔力も尽き果てた状態で長く活動できるはずもない……そっからは分かるだろ?」


「そうやって路頭に迷ってるとこを拾ってもらった、と?」


「そうだ」


 妙だな。


「ちょっと待ってろ。掲示板で鳩貴族さんと話してくる」


 





タカ:鳩貴族さんいる?


ガッテン:んお?


ガッテン:俺でいい?


タカ:よくねぇから名指しで呼んだんだろがタコ


ガッテン:はい……


ガッテン:今皆忙しいよ


タカ:お前はサボり?サボりかぁ……


ガッテン:せめてこっちの返答を待てや


ガッテン:いやまぁサボりだけど


タカ:人として恥ずかしいと思わねぇのか


ガッテン:鏡向けたら延々と口喧嘩してそうだなお前……


ほっぴー:どうした


ガッテン:鳩貴族さん呼べってさ


ほっぴー:呼んでこようか


タカ:頼むわ


紅羽:賑わってんじゃんどうしたの


タカ:なんでこういう時に限って全然関係ねぇやつがワラワラ集まってくんの?


紅羽:関係なくはないだろ


タカ:いやまぁそうだけどよ


鳩貴族:どうかされましたか


タカ:お


タカ:京都の避難所の人達について質問があってな


タカ:明らかに人外と分かるような人型の生物が倒れてたとして、そんなヤツを助けようとする集団かどうか


鳩貴族:どういう意味です?


タカ:避難所で保護されてたって自称してるドラゴノイドに会ってな。判断材料が欲しくて


鳩貴族:ふむ


ほっぴー:社交辞令が通じなかった可能性


タカ:ドラゴノイドに社交辞令なんてしないだろ


ジーク:ぶぶ漬け延々と待ってそう


ほっぴー:ドラゴノイドにぶぶ漬けは笑う


ガッテン:草


鳩貴族:今時そんな表現を使う京都人はいませんよ


紅羽:じゃあどういう表現すんの


鳩貴族:まず、家に人を呼びません


ガッテン:えぇ……


タカ:それ鳩貴族さんが閉鎖的なだけじゃん


紅羽:当てになんねー


ジーク:ボロクソ言われてて草


鳩貴族:仕事やめて寝ます


ほっぴー:ちょっと待って困る


鳩貴族:仕事やめて寝ます


ほっぴー:なんで二回言った


ジーク:そら大事なことだからよ


ほっぴー:やかましいわ


タカ:寝るのは良いけど、最後に俺の質問にだけ答えてもらっても?


鳩貴族:そうですね


鳩貴族:結論から言いますが、あまりコミュニケーションをとってないので分かりません


タカ:あっ……


ジーク:悲しいなぁ


鳩貴族:寝ます


ジーク:草


紅羽:草


ほっぴー:おい、鳩貴族さんが寝たらその分お前らの仕事増えるんだぞ。分かってんのか?


ジーク:マ?爆竹持って部屋凸してくる


紅羽:ちょっと焦がしてくる


ガッテン:容赦が無さ過ぎるよ……








 ガチャリとドアを開け、ドラゴノイドの居る部屋に戻る。


「よう、ちっとばかし時間を無駄にしてきた」


「!? え、無駄にした、のか……?」


 うん。

 見事な空振り。


「さて、どうするかな……現段階じゃお前を信用する材料が少なすぎるんだよな」


「……こればっかりは、信じてくれとしか」


 少ししょぼくれた表情を浮かべたドラゴノイドを視界に入れつつ、思考を続ける。


「あー、そうだな。とりあえず保護されてからここに来るまでの経緯を教えてくれ」


「分かった」


 ドラゴノイドはそう言って頷き、数秒ほど考え込むような仕草をした後に口を開いた。


「保護され、避難所の布団の上で目を覚ました俺は、真横で俺を監視していたバジリスクにビビりつつ、人間から出された飯にがっついた」


「クソなさけねぇなお前」


「うるさい」


 ドラゴノイドは俺を一睨みした後、語りを続けた。


「その時の俺は人間を見下しちゃいたが、なら恩を返さないかと言われればそれは違う。俺は恩返しのためにそこで少しばかりの労働をすることにした」


 ふむ。


「打算的な部分もあっただろ?」


「……まあ、そりゃあったさ。バジリスクにゃ勝てねぇだろうし、人間もそれなりの戦闘能力を持ってた。逆らう理由なんぞ、プライドに触る、ぐらいのもんだが……プライドなんぞ敵前逃亡した俺にはほぼ無いようなもんだ」


「そうか」


「ああ。まぁそっから暫くは単調な日々が続いたよ。働いて、人間共と一緒に飯を食って寝る。それの繰り返しだ」


 ドラゴノイドはそこで一度話を区切り、ぐっと顔をしかめさせた。


「どうした」


「……ある日突然、オークが押し寄せてきたんだ」


 オーク……オークだと?


「掲示板で助けは求めたか?」


「掲示板?」


 そうか。知らねぇのか。


「じゃあ魔法陣を書こうとしてたやつは居たか?」


「あー……確かに居たな」


「いつ?どうなった?」


「オークの城らしき場所に連れてかれて、そこの牢獄みたいな場所に到着してからだな。まぁ、首を刎ねられて死んじまったが」


 監視の目がキツいのか。

 いや待てよ?


「ならなんでお前はここまで来れたんだ?どうやって脱出した?」


「……俺の牢だけ急に扉が開いた」


 完全に泳がされてんじゃねぇか。

 てめぇ追跡魔法的なのかけられてねぇだろうな。


「罠だとは思ったが乗らざるを得ないだろ」


「逃げるにしても何故ここに来た」


「東京を目指してた。そこなら助けてくれるヤツがいる、ってのは人間がよく口にしてたからな」


「……ちょっと頭整理すっから待て」


 ふう……一先ずコイツの話を信じたとしよう。


 コイツは意図的に逃がされた。

 問題はその意図、だな。


「砂漠の女王に会いたがってた?……いや……うぅむ」


 アイツが特定の地から動けないのはあっちの世界のヤツにとっちゃ有名なはず。

 単なるオークキングなら知らないかもしれないが、ドラゴノイドは「オークの城」と言った。

 こんな短期間でそんなモノを作るってことは……いや待てよ。


「ドラゴノイド。オークの城とか言ったな」


「ああ」


「ひょっとしてそれは領域・・の一種か」


 俺の問いにドラゴノイドがポカンとした表情を浮かべる。

 

「領域ではあるが……異界化した魔族だよ。分かるだろ」


 はーーーーー、また知らん単語ですか。分かんねぇよ。


 俺は部屋に響くほどの溜め息を吐き、首を横に振り、書類をテーブルに放るようなジェスチャーをした。

 面接は以上です。



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