表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過疎ゲーが現実化して萎えてます。  作者: ペリ一
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/339

先を越された従者






「バンシーを呼び出そうと思う」


 扉を壊し侵入した民家の一室。

 埃をどっさり被ったソファに腰掛けながら俺は話をきりだした。


「呼び出す?……あー、そういえば使えるんだっけ」


 俺は無言でこくりと頷いた。

 あのイカレた聖女と戦い、死に掛けた際に聖女から無理やり習得させられた魔法。

 その内の一つに、使役しているアンデッドの呼び出しがある。


「でも使うとしばらく動けなくなるじゃん」


「だからこそ早めにやっておきたい」


 ヤワタはこの話に興味がないのか、俺が拾ってきた人形を解体して遊んでいる。

 まぁ、うん。子供ってのは好奇心旺盛だからな。ちょっとばかし見た目が残酷な遊びってのはやっちゃいがちだよ。うん。


 俺はそっとヤワタから目を逸らした。


「で、どうだ?やっていいと思うか?」


「うーん……でも領域の戦力引き抜くことになるんじゃ」


「領域の戦力じゃねぇ、俺の戦力だ」


 とは言うものの、一応領域側の許可も取っとくか。





タカ:バンシーこっちに呼ぶぞ


ガッテン:え?


ガッテン:ああ、呼べるんだった


ガッテン:いんじゃね


タカ:うい


ほっぴー:おい待て勝手に決めんな


ほっぴー:バンシーか……まぁ今んとこ任せてる仕事はないしな


ほっぴー:構わん


タカ:結局良いんじゃねぇか


ほっぴー:うるせぇ


ほっぴー:蝙蝠屋敷の主と人狼はどうする


タカ:出来れば呼びたい


ほっぴー:人狼は狩猟の仕事を任せてるから厳しいぞ


タカ:おっさんは?


ほっぴー:お前の身内の専属護衛だろ


タカ:そうだったな


タカ:じゃあバンシーだけ呼び出すか


ほっぴー:外の情報が周辺のことぐらいしか入ってこなくてな


ほっぴー:やばいようだったらガッテンとヴァンプレディあたりを向かわせよう


ガッテン:えっ


タカ:了解


ガッテン:俺は了解してないけど!?


タカ:じゃあまたな


ほっぴー:おう。連絡は定期的にな


タカ:了解


ガッテン:ねぇ、俺は了解してないよ?ねぇ


砂漠の女王:わたくしも了解していませんが……


ジーク:指揮系統めちゃくちゃで草







 これから使う使役しているアンデッドを呼び出す術は自分の魔力の殆どを使うため、気を抜けば気絶してしまい、術が不発に終わってしまいかねない。


「よぉし、呼ぶぞ」


 自分の両頬をパンと叩き、気合を入れ直す。


「俺が白目むいたら引っ叩いてでも起こしてくれ」


「了解」


「……うぐっ」


 脳がギシギシと音をたてて軋む、そんな感覚を覚えながらも、丁寧に魔力を編んでいく。


 前回はアドレナリン大放出な状態だったから分からなかったが、こりゃかなりキツいぞ……!


 そのまま必死に意識を保つこと数秒、ずるりという感触と共に、眼前に人影が現れた。



「主殿ぉおおおおお!我輩が、我輩がきましたぞ!」


「チェンジで」


 俺は非常に不愉快な気分になりつつ気絶した。






 

 きっかけは些細な物音だったか。

 まぶたを開き、目にはいった天井が先ほどと同じであることにまず安堵をおぼえる。


「目が覚めましたか、主殿」


「なんでお前が来てんだよ……」


 チェンジでつったの通じなかったかぁ……


 俺は溜め息をつきながらソファから起き上がった。


「お前には妹の護衛というそりゃもう大事な役目を与えていたはずだ。職務放棄とか死にたいの?」


「ああ、いえ、その件についてはバンシー女史に代役を依頼しました」


 ふむ……ならまぁ、良い。いや決して良くはないが。


「だいたいあの術でなぜお前が来るんだ」


「……む?主殿、我輩は少し系統がズレているだけで吸血鬼……更にざっくり言えばアンデッドです。あの術の条件にはしっかり当てはまっていますが」


 ああー……確かに。


 というか召喚対象選ぶの俺じゃねぇのかよ。


「それは主殿の魔力不足のせいかと。対象の選択を召喚される側に任せることで消費魔力がかなり抑えられますから」


 そんな意識は無かったが……ああクソ、あのイカレ聖女め。いったい俺にどれだけの知識を刻み込んだんだ。

 全貌はなんとなく分かってるつもりだったが、この分じゃ俺が認識できてる領域はごく僅かかもしれん。


「……はあ。まぁいい。しばらくはバンシーしか育成してなかったし、おっさんの強化もやらなきゃとは思ってたんだ」


「寛大な措置、感謝致します」


「おう、もっと感謝しろ」


 俺はあの術をどうにか応用しておっさんとバンシーを入れ換えられないか必死に考えつつ、部屋をぐるりと見回した。


「おい、ヤワタ。モータルはどうした?」


「オークの巣見つけたから潰してくるって」


「そうか」


 外に出て分かったことだが、どうやらこの世界と異世界の融合がじわじわと進みつつあるらしく、徐々に力の強い魔物がこちらに迷い込んでくるようになっている。


 これじゃ異世界人に発見されるのも時間の問題だ、どうにか……どうにかできるか?これ。


「どういう形で融合するのかもよく分からん。魔王軍にその辺の歴史書でも要求すっか……」


「どうしたの、タカ」


「ヤワタ、二つの世界が融合するときってどういう過程を踏んで融合してくか知ってるか?」


「さあ?」


 まぁ知らないか。


 うーん、まぁそこは俺が考えるべきことじゃねぇか。

 ほっぴーにも強い魔物が侵入してきてることは報告したし、後は領域内の面子が考えりゃいい。


 ……っと、あぶね。思考停止するとこだった。

 俺は俺で考えを持つようにしねぇと。


 しっかし……うぅむ。


 俺が眉根を寄せ唸っていると、おっさんがそっと肩を叩いてきた。


「なんだよ」


「いえ、主殿。その……あの少年はもしかすると」


「ああ、ヤワタか?領域で暴れてた大蛇だよ」


「ははあ、やはり」


 ああ、そうだヤワタにこいつを紹介しとこう。

 俺はそう思い立ち、ヤワタを手招きしてこちらへ来させた。


「なに?」


「紹介しとく。こいつは俺の使役してる蝙蝠屋敷の主」


「こうもりやしきのあるじ?さん、よろしく!」


「これはこれは、ご丁寧にどうも。よろしくお願いしますヤワタ殿」


 少しばかり和やかな雰囲気になった部屋。

 俺はそれに対し満足げに頷くと、ソファに横たわり掲示板魔法を起動し――ようとした。


「タカ、この人には名前つけないの?」


「……あー」


「主殿?」


 チラリとおっさんの方向を確認する。


 うわ真顔じゃんこっわ。


「主殿」


「はい」


「ひょっとして、ああ、いや、まさかそんなことがあるはずないのは承知の上ですが」


「ヤワタって名は俺がつけた」


「……」


 おっさんは金魚のように口をパクパクさせたあと、すっと真顔になり黙り込み。


「マジ卍……」


 そう呟いて床に突っ伏した。


 いやごめんて。あとその言葉どこで覚えたの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ