4-12 機械
登場人物まとめ
A[整備班 自動車関係に詳しく体も声もでかいが気弱な所もある]
B[研究班、高齢の女教授で研究以外に興味が無く性格がキツい]
D[研究班、研究肌で声が小さく話す前に少し貯める癖がある]
E[整備班、体躯のわりに運動は苦手だが他は多芸で飄々とした性格の個人主義]
G[偵察班、体は大きいが器用貧乏で非日常を好む変人で親しい人間には語尾を伸ばす癖がある]
K[施設班、工学に詳しく冷静沈着で天才肌なまとめ役]
O[施設班、少し気弱でオタクっぽいが機械やドローンに造詣が深い]
P[遠征班、小柄だが朗らかで野外での活動の才能が高く一度見た風景を忘れることが無い]
S[遠征班、糸目で音楽や文学に詳しいムッツリスケベ]
T[遠征班、小柄だが自転車が趣味で体力が高い人の好い性格]
H[遠征班、元学芸員の歴史オタでフィールドワークの経験から重機を動かせ体力もある]
I[偵察班、長身痩躯で極めて性格が善性な人物]
「いやはやここがメガソーラーねェ、名前に負けずかなりのソーラーパネルの数だなァ」
「Gさん、体かに途方に暮れそうになりますけど、早く作業に移らないと・・・」
「あァ、分かってらァさ」
トラックの後部にはモニターがついており外の様子が映しだされていた。幸いにもメガソーラーのソーラーパネルに損傷があるものは殆どなかった。幸いにも持っていく必要があるものはパネル部だけであったが、一面に広がり泥汚れの隙間から日光を反射するパネル群の数を見れば今後の作業を思い言葉を失うのもやむを得ないところがあった。その光景は徐々に大きくなり、そしてトラックは停止する。
『こちらAだ!!目的地に到達したぞ!!Oのドローンが偵察している間に用意しとけ!!』
「オーケイオーケイ、さァて、準備するかねェっと」
「手伝いますよGさん」
「おぅ、ミスターI、サンクス」
スピーカーからうるさく響くAの大声を聞くと、GとI、SとTの4人が一角に向かう。そこには見慣れない機械が2つ壁面に固定されていた。
「・・・パワードスーツ、ねェ。SFやアニメだとおなじみだがなァ」
「はは、でも介護用とかでニュースにはよくなっていましたよ。」
「そうだなァ、ま、実験段階とはいえコストさえかければもうそれなりのモノは作れる時代だってこったァ。Kの奴が研究しているのもコレの類だしなァ。」
「ええ、これを拡大する形で人が搭乗できるロボットを作りたいと言ってましたね」
「正確には人型兵器って言ってたがなァ」
Gは珍しくも熱がこもったKの解説を思い出す。
―――最終的な目的は所謂巨大なロボットだ。しかし解決すべき課題は非常に多い。特に問題なのは姿勢制御だ。何だアニメや映画の挙動は?どう考えても動く筈が無い!関節数が明らかに足りん、かといって徒に増やせば際限なく部品が増え制御も整備もとてもできん。上品な部屋の仲だけならいいだろうが・・・あらゆる地形で飛んだり跳ねたり2足歩行するとは、フン、笑えん。無論今後の研究ではソフトウェアの進化によりあらゆる体勢を維持できるように目指すことになるだろう。だが、突発的な姿勢制御はそうそう完全に自動化できん。ドローンのように空を飛ばしたりタイヤなら簡単だがな。
故に、今はハードの検証を優先してソフトウェアは人間にやらせる。つまりはパワードスーツを作り、そこから大型化させる・・・5m程度のサイズにまで挑戦したい。幸い介護や作業用パワードスーツという形であれば企業から予算を集めてくることも可能だったが、駆動に関してはサーボでは無くワイヤーを引く形式を採用した、そちらの方が関節の可動域が極めてスムーズになるからだ。試作型パワードスーツには腕や足に8本ずつのワイヤーが人間の動きをセンサーで感知して巻取り、伸長が為されて動きをサポートする。もっとも全ての動きを再現できるわけではないため動かすには多少の訓練が必要だ。どうやってもうまく動かない方向があるし、思ったようにサポートが働かないこともある。だが、転倒時に起き上がることが可能な程度には自由度は高い。
問題点は他にもある、現状あまりに急な動作には反応しきれん。さらにワイヤー電気で収縮するバイオメタルについても強度を高めるために捻じり束ねているが、発熱が抑えきれん。特にサイズが大きくなるとこの問題は厳しく大型腕部の試作機を中古のバックホウにつけてみたが、酷いものだった。仕方が無く試作機にはワイヤーをモーターで長さを調整する機構にしたが・・・動作はさらに低速化し重量も嵩んだー――(以下省略)
「やったらまァ饒舌だったなァ、ま、とりあえず俺はTのほうを担当するべ、ミスターIはSのほうをお願いな」
「了解です」
パワードスーツはTとSが着ることとなっていた。その理由としては単純に体格の問題であった。今いるメンバーでGとAは大柄で問題外、Iも高身長で少し厳しい、Hも他の役目があるため適合者はT、S、Pの3人となっていた。ともすれば後部に元々いる2人に白羽の矢が立ったのであった。また、パワードスーツの脱着は一人でできず、補助が必要となるためそれはGとIが担当することとなった。
「うし、よォく似合ってるぜ、T。どんな感じだ」
「サンキューG、やっぱりぎこちないね、でも肩も回せるし、ゆっくりなら大体の方向にも腕を捻れるね。前傾もいける。流石に体を横に曲げるのはできないけど。」
「あー、あのラジオ体操のやつかァ」
「そう、それ。でもしゃがむこともできるしすごいねコレ」
「羨ましいなァ、面白そうだ。まァ稼働時間はバッテリーで40分程度、さらに表面の装甲は稼働後は肉焼けるくらいになるらしいが」
「おい脅すな。それに体の方の側には流石に断熱材入ってるらしいよ」
「そりゃあ、なァ。Kにとっちゃあ喜ばしい機会なんだろうなァこれも・・・お、偵察が完了してタラップ降ろすとよォ。周囲に敵影ナシ、とさ」
「うーん、やっぱりあの爆音に向かっていったのかな、じゃあさくっと終わらせよう」
足音は大きなものの、思った以上に静かな駆動音でパワードスーツを着た2人はトラックを降りていく。その動きは決してスムーズではないものの、それなりに様にはなっていた。
細かな作業を行うには補助が必要とされるため、それぞれにGとIも並び、外へと出た。だが、すれ違うようにHが運転席から降りてトラックの後部に入っていく。
少し後、キュルキュルという音を立て、異形の機械がトラックの後部ハッチのタラップを下りてくる。
一見すると小型のユンボだが、アームが中央からではなく両サイドから極めて長いペンチ状の腕を生やしていた、そのために剛性を高めるかのようにゴテゴテとした追加の補強が為されている。キャタピーラーは三角でやや上背が高い印象を与えている。両腕を持ち、背の高いそのシルエットは見方によっては人型にも見えた。
操縦席にはHの姿が見え、地面に着くとトラックの内部では折りたたまれていた機械の腕を広げた。操縦席の二本のレバーはフレキシブルに動きアームも追従して動く。トリガーを引けばペンチのようなアームが開閉し、親指で押せるボタンではアームが回転する。前進や回転はフットレバーにより操作が行われ、操作は煩雑となるが動きながらもアームを動かすことが出来るようになっていた。
これもまた、Kの試作機であった。巨大ロボットの腕部の研究の一環とのことだ。これも駆動はワイヤーで筋肉の動きを疑似的に再現しているが、モーターで長さを調節する仕組みとなっており上腕部がその機構の為かやたらと太く、ショルダーアーマーのように本体との付け根も張り出していた。だが、これが一層その見た目をロボットのようにさせていた。
AとPもトラックの運転席を降りてくる。Pは周囲の警戒に当たり、Aはトラックへの詰め込み作業の指示を行う予定となっている。
上空にはOが操作するドローンが周囲の警戒を続けており、それを介して本拠地からこちらの様子も把握していた。
そして通信が入る。
『こちらK、作業を開始しろ・・・あとで使用した感想をレポートにまとめてもらうからそのつもりでいろ』
ツカレタ




