2-6 収穫
登場人物まとめ
A[整備班 自動車関係に詳しく体も声もでかいが気弱な所もある]
B[研究班、高齢の女教授で研究以外に興味が無く性格がキツい]
D[研究班、研究肌で声が小さく話す前に少し貯める癖がある]
E[整備班、体躯のわりに運動は苦手だが他は多芸で飄々とした性格の個人主義]
G[偵察班、体は大きいが器用貧乏で非日常を好む変人で親しい人間には語尾を伸ばす癖がある]
K[施設班、工学に詳しく冷静沈着で天才肌なまとめ役]
O[施設班、少し気弱でオタクっぽいが機械やドローンに造詣が深い]
P[遠征班、小柄だが朗らかで野外での活動の才能が高く一度見た風景を忘れることが無い]
S[遠征班、糸目で音楽や文学に詳しいムッツリスケベ]
T[遠征班、小柄だが自転車が趣味で体力が高い人の好い性格]
H[遠征班、元学芸員の歴史オタでフィールドワークの経験から重機を動かせ体力もある]
I[偵察班、長身痩躯で極めて性格が善性な人物]
「ガソリンは空っケツかよ・・・いや、まあ予想はしてたがねェ」
「軽油もダメですね、ほぼゼロです」
地下の燃料タンクには殆ど燃料の残量は無くGとIは肩を落とす、災害対策型という点で非常時にも稼働するガソリンスタンド、まだかろうじて統制が取れていた時に使われていたのだろう。仕方のないこととはいえ落胆は隠せなかった。
「廃車から引っこ抜いて集めるのってくっそ面倒なんだよなァ」
「まあ仕方ないですよ、他に使えるものはないか探しましょう・・・屋根の太陽光パネルは使えませんか?」
「う~む、バッテリーはあってもいいが、正直屋根のもの外すのは結構手間だなァ・・・無理ではないが。でもそれならちょっくら山間のとこ行けばメガソーラー跡地があるからそこではぎ取ったほうが楽っぽいな、いや、これはやるべきだな」
「次は・・・山ですか、街とどちらがいいのかわかりませんが」
「山は山で視界悪いしどっこいどっこいじゃね?道がふさがれていたら山道は迂回できないからそもそも着けるかわからんが・・・って、おいおい、灯油はだいぶ残ってんじゃねェか!!」
喋りながらも調査を続けていたGが喜色の笑みを浮かべた。
「ああ、この時期ですからね。でも灯油ですよね?あと3か月はストーブはいらないでしょう」
「いやいや、動く。灯油でもな・・・ディーゼルってやつは」
「え?」
「もちろん車に放り込むには違法だが、まァいいだろうさ、こんな世の中だから法も糞もあったもんじゃねえけどなァ」
トラックの軽油に混ぜ物として入れている不正ドライバーがいることも、その取り締まりが度々あることもよくあることだった。その理由は簡単―――灯油は、安い。
「ガソリンの二重課税がそもそもおかしいんだがね、いや、温暖化防止には一役買っていたかもしれんが」
「ええと、灯油は使っても問題はないんですか?軽油と分けられて売られてるくらいですし」
「あまりよくはないはずだが、そこまでは知らんな・・・一応Aに確認をとるかァ、奴は車に詳しいし何かしら知ってんだろうさ、通信頼む」
「あ、はい。わかりました・・・少々お待ちを」
Gが周囲の警戒をする中再びIが通信機を取り出し手早くダイヤルをまわした。
「こちらIです、聞こえますか?」
『Kだ、トラブルか?』
「いえ、ガソリン類はダメでしたが灯油はあったので、Gさんがトラックや発電機につかえるんじゃないかと、ただ、そこまで詳しくはないとのことでAさんならお詳しいのではないかと」
『ふむ、使えたはずだが・・・まあ代わる、少し待て』
通信機からはわずかなノイズが1分ほど流れていたが、唐突に大きな声が響きIが反射的に顔を遠ざけた。
『おう!Aだ!Kから通信に出ろと言われたがなんだって?』
「うわ、声を少し落としてくださいよ、ゾンビに聞こえると困ります・・・とりあえず、灯油を見つけましたのでこれで車や発電機を使って問題ないでしょうか?」
『あるな!エンジンや周辺の部品は痛めるし、最新のクリーンディーゼルなんかに使えるかといわれると怪しい。ははは!だが安心しろ!短期的には問題ないし単純なエンジンなら洗浄剤でも混ぜてやればオッケーだ!大学の薬品でなんとかなるかもしれんし、重機使うトコ探せば見つかるだろ!!』
「それでは、これらは回収できますね。いやあ、無駄骨にならなくてよかったです」
『おうよ!トラックにタンク満載してそっちへ行く準備をしねえとな!!』
「おねがいします、道路にはゾンビとか障害物がありますので気を付けてください」
『そうか!じゃあ「装甲車」を出さんといかんな!!』
「そうですね・・・でも、今からだと日が落ちてきて危険です。一度大学まで戻ります」
『おう!気を付けて帰れよ!グッドラック!』
「了解です。グッドラック!」
通信機をしまうとIがGに申し訳なさそうに声をかける。
「すいません、トラックでここまで来てもらって乗せてもらえば帰りは楽だったんでしょうが・・・」
「いやあ、確かに面倒だが、正しいさ。準備も時間かかるだろうし回収作業も計画立ててやらんとなァ、危ないしな」
気にするなとIの肩をGが軽く叩き、二人は周囲の探索を再び開始した。




