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1-19 荒野のメッセンジャー

出張で色々と投稿遅れました、すいませんm(_ _)m・・・仕事が溜まってるんじゃああああ!主任、少し手伝ってくださいよおお!!!

「ワタシは東から西へあちこちに受け取ったり配ったりしながら周ってきたんですがね、そりゃあもうバイクに満載して・・・ああ、もう主要な道路も殆どは車があちこちで壊れていてバンとかじゃあもう通れなくなっとりましてね、ごく一部の道路だけが都市と都市を繋いでる感じですわ。まあ、そこでこいつなら車が通れないところやちょっとした獣道も通れますんで便利なもんですわ。」


 フルフェイスの男はハンドルを労わるように撫でていたが、ふと何かを思い出したかのように手を止めた。


「いやぁ、でも趣味をツーリングとか公言していたばっかりにこんな面倒なことになっとるんですがなぁ・・・」


「あー・・・お宮仕えはつらいですね。ここに来るのも大変だったでしょう、少し山間にありますし」


 大柄な男は苦笑しながらも話を合わせ、フルフェイスの男も空笑いをあげる。


「ははは、まあそうですな、でも下っ端ですしどうしようもありませんわ・・・ワタシはこういうものを使ってるんですがね」


 掲げられた左手には腕時計、しかし文字盤が普通の時計に比べてやや大きく、良く見ると液晶画面がついていた。


「ナビつきの腕時計型端末ですわ、ツーリングに便利だったんでボーナスの時に奮発したやつですしまだ衛星も生きてるんで使えるんですがね・・・道路は殆どもうあてにならないんで目的地の場所と方角を知るのに使えるくらいですな。この辺りの地域も、この画面のこの国道以外はもう殆ど駄目ですな、細い道なら迂回して車が通れないことも無いでしょうが・・・まあ、どこももうそんな様子ですわ、隔離といいますか孤立といいますか、田舎のほうはほとんどそんな感じですなぁ」


「他の主要道路ももう使えないのか・・・しかし、孤立している地域とは・・・自衛隊とかはどうなっているんですか?」


 一瞬虚を突かれたかのように止まったフルフェイスの男だが、次の瞬間には声をあげて笑った。


「ははは!いやはや、何を仰いますか・・・そんな余裕はもうあるはずも無いでしょう、たしかに公営放送だと聞こえの良いことをまだ言っとりますがねぇ、実際はもう危ないもんですわ。いろいろ鵜呑みにはしておらんでしょう?」


 背の高い男は顎に手を当てて考え、思い当たる節があった。それは曲がりなりにも研究者の末席となっているからこそ知りえる情報でもあった。


「公式発表の感染率と各研究機関のデータが合わない・・・公式では25%、しかし実際は・・・40%は既に超えているはずだ。政府は今どうなっているのか・・・もし良ければ教えてくれませんか?」


「議会は有名無実・・・一部の野党の方はまだ騒いでいるようですがな、まあ実働のほうは官僚と、難を逃れている俗に言う政界のドンって方が組織を再編して動いてますなぁ」


 意味ありげな言葉に目鼻立ちの整った男が気が付く。


「難を逃れた・・・とは少し面白い表現をなさる」


「お、気づかれましたか!まあ、都心には自衛隊並びに警察特殊部隊のNBC対策部隊とその拠点がありましてな・・・勿論一般には知られていませんがね。そちらに家族もろとも避難して・・・今では事実上の自衛隊の司令部ってとこですな。まだ無事な官僚もちょいとランクは落ちますが対策された施設を拠点にしとります。とはいえ・・・この事態になる前に比べると殆ど人員は残っちゃあいませんですがね」


 面食らったような話に驚く男達であったが、目鼻立ちの整った男は訝しげな視線を向けた。


「・・・少々予想を超える話だ。だが・・・そこまで言っていいのですか?何故我々にそこまで話してくださる?」


「ははは、そうですな・・・いくつかありますが、まずはワタシは貴方達が気に入ったのですよ」


「我々を?」


 防護服に防毒マスクの男たちは困惑した様子で互いを見る。客観的に見れば表情も殆ど伺えずすっぽり全身覆われた警戒心をあおる怪しい集団であった。


「ええ、一目見たときから・・・いえいえ、その格好がですな。他にも幾つか研究施設を回ってきましたが、防疫意識が薄いところも多くありましてな・・・耳掛けの使い捨てマスク程度で手袋も付けていないなんぞ甘すぎますわ!その点、貴方達はわかってらっしゃる」


「そちらのフルフェイスの下も・・・」


「ええ、暑くてかないませんが装面しとります。スーツの下も防護服ですわ・・・用を足すときは仕方なく人気の無いところでするよう心がけておりますが・・・こればっかはかないませんな。ま、感染症と言うことが分かっていて手を抜く方々には感心しませんわな。あとは――――」


 フルフェイスの男は言葉の途中で、どこか可笑しそうに低く笑うと話を続けた。


「意趣返し、ってやつですかねェ。まあ、仕事ですし仕方がないとはいえ・・・安全なところから命令してくるお偉方へのささやかな反抗ですわ。ワタシ自身もいつまで無事が分かったモノでもないですしこういった情報も広げておいた方が良さそうで。いや勿論伝えるヒトは選びますが、貴方方はオッケーということで。ま、もっともお偉方が前に出てくるようじゃあもう御仕舞いですがねぇ、ははは!」


「お話は分かりました、こちらとしても有益かどうかはまだ分かりませんが知らないより良かったですよ。しかし・・・」


 大柄な男は少し言い難そうにしながらも言葉を続けた。


「よくそんな危険な仕事をやれますね?この状況なら逃げても追われることもないでしょう?」


 笑い続けていたフルフェイスの男の声がピタリと止まり、そして気のせいであろうがどこか低く、無機質で、それでいて決意を持った声が放たれた。


「他に、どうしろと言うので?逃げたところで、奴らに怯えながら生きてどうしろと?少なくとも今ワタシがいるところは、この事態を解決しようと動いている所ですわ・・・まあ、望みは薄そうですがな。それでも、何が正しいかと言われると選択肢は他にそうそうありませんわ。逃げていて他の人頼みにだらだら何もやること無しに隠れとるのは少しちゃいますな・・・貴方方も、だからこうして研究されてるんじゃあないんですか?」


「・・・そう。・・・そうですね、少なくともただ文句を言ったり祈るよりかは建設的だ。それに、確かに他にやることも無い・・・それが耐えられないのか我々は。いや、ワーカーホリックですねお互い、もっとも私は少し前までは無職でしたが」


「ははは!今じゃあ殆どの人は無職ですわ!いやはや仕事があるっていいことですな・・・さて、ワタシはそろそろお暇させていただきます、次に運ぶところがありますからな・・・ああ、でも少しだけ忠告ですわ」


「忠告?」


「ええ・・・身を守る武器は常に持っていたほうがよろしいでしょう、たとえ相手が誰であれ・・・感染者だけや無いです、もう無法地帯になっとるところは自棄になった奴らや変な宗教にどっぷり漬かってる奴らが闊歩しとります、火の手もそこらかしこであがっとりますし自衛隊の中からの離反者もいるようですわ」


「武器ですか、事前に買って用意はしてあります、が・・・」


「おや?武器や防具は装備しないと意味がありませんよ?」


 そのフルフェイスのしたにはニヤリとした笑みを浮かべているであろう、日本人の男子であれば結構な数が気がつきそうな、そんなジョーク。重くなった雰囲気を変えようとする意を汲み、同種のジョークを背の高い男は返した。


「はっはっは、檜の棒よりかは良いのを持っていますよ。そちらは今何を装備しているんですか?」


「特殊警棒と、ナイフと・・・コレですな」


 そう言うとフルフェイスの男は慣れた手つきで腰から拳銃を抜いた。


「安全装置は・・・おお!解除済みですか。やはりそれくらい用心が必要になっていますか?」


「ええ、コイツは元々は麻薬取締官用のハジキだったそうですがな・・・バイク目当てで襲ってきた若いのを撃つ羽目になりましたわ、胴体に当たってしまったようで、ワタシはすぐ逃げたんで後は知りませんがな。ただの配達人が銃を持たないといかんとは、ホンマ物騒な世の中ですわ」


「いや・・・確か昔は郵便配達員も銃をもつ事が許されてたらしいですよ?」


「ホントですかな!いつの時代に?」 


「明治だったかと」


「ははは!時代がどんどん逆行しとりますなあ・・・いやはや、まさにその通りですな」


「ええ、秩序の無い時代・・・どれほど古い時代か」


 不意に、静寂が訪れる。この場に居合わせた誰もがこの先に訪れるであろう激しく、冷たい世界の訪れを肌に感じ、立ち尽くしていた。


「・・・では、そろそろホントにお暇させていただきますわ。朗報をお待ちしとります」


「色々とありがとうございました、月並みですが、お元気で・・・また会いましょう」


「そうですな・・・では!」


 バイクが低いエンジン音を上げながら見る見る遠ざかっていく。その後姿を大学に残った男たちは背中が見えなくなるまで見送っていた。



あ、仕事で中破レベルのミス発見した・・・アイラ呑んで寝よ・・・尚、バレンタインにチョコは無い模様、精神壊れるなぁ・・・

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