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夢一夜~幽明に咲く花~  作者: ZAKI
第5章
15/40

(1)

 庭の木に、満開の梅花が咲き誇る。

 けがれのない、白い花弁が無数に風にそよぎ、強い馨りを鼻腔へと運んでくる。


 根もとに佇むのは、ひとりの女。


 じっとこちらを視つめるその口が、なにかの言葉を懸命に紡ぐ。

 けれど、訴えかけてくる女の言葉は聞き取れない。

 間近に女の声を聞こうと近づこうとするのに、その場からは一歩も動くことができなかった。


 女の瞳に悲しみの色が浮かぶ。


 強い焦燥。深い失意。


 その姿を眺めるうち、悲しいわけでも苦しいわけでもないのに、なぜか自分の瞳から涙が溢れ出る。

 女がなにかを必死に訴えかけてくる。


 強すぎる花の馨りに、感覚の一部が痺れて思考が散漫になった。


 満開の花弁の色が白すぎる。

 花の香が、強すぎる。



 花の下で、女がひとり、じっとこちらを見ていた――






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