第97話 機巧の大魔王再び
第六惑星・・・
「よーし!ノルマは達成したか?」
実験用マウス二号は、明るい声で、「子供たち」に声をかけた。
「「「いえすマム!!!」」」
「ハーフクローン兵を、五人生産しました」
「クローン兵を、五人待機状態にしました。」
次々に、「子供たち」の生産状況の報告を受ける、実験用マウス二号。
「・・・」
もはや、何も言えない。
「僕らの子供と、クローンコピーをかけあわせての、強化・増産計画・・・
いくら、僕らが実験動物とはいえやりすぎだろ・・・」
すっかりダメ亭主・抜け殻亭主と化してしまった、実験用マウス一号・・・
「「ヨーグルトウォーター」でも飲んで、個人用端末に研究記録を残してから寝よう・・・」
心身共に、疲れ果ててぐったりの実験用マウス一号。
「よお!」
私室につながる通路を、実験用マウス一号が歩いていると、エルフの科学導師風の男が歩いてきた。
「ああ・・・ファルス君・・・復活してたんだ・・・」
「久しぶりだってのに、地味なあいさつだな。」
「疲れてるの・・・」
「「憑かれてる」の間違いみたいな顔してるぞ。」
ファルスが返した。
「間違ってないかも・・・「ご主人様」が、妹分をつくってね・・・」
「ははあん・・・「搾られてる」って訳だ。」
文字通りだ。
「うん。」
ファルスは、右手の人差し指の第一関節を外し、金属壁の穴に向ける。
しゅるしゅると、コードが延び、穴に突き刺さる。
「ほほう・・・俺らが「死んでる」間に、ずいぶん発展したようだな。
あの星は、俺らに対抗し、「勇者の不在」を埋めるべく、「軍拡」を始めているってか・・・
それと、「外」からの来訪者も来ているか・・・
特に注目株は、キティルハルムの「ミリアム姫」か。
ライテスの野郎を「心の師」としているか・・・
魔導師としても、科学導師としても優秀か・・・」
関心するファルス。
「もしかすると、あの「ノワール女王」や「ノワール二世」をも越えるかもよ。」
「ちげえねえ。
じゃあ、もっとおもしろくしてやろうぜ・・・
この、「機巧の大魔王・ファルスがな。」
アンドロイドです。




