第848話 送迎祭2
とにかく、キティルハルムの民は祭好きである。
年末年始が終わったらこれだ。
またしても屋台が並び、騒ぐ。
しかし・・・
肝心なところを、雪尾君は見抜いていた。
なんと・・・
記者たちに質問されると予測できた内容の印刷物を、事前に記者たちに配っていて、それを王家が発表するという体裁をとったのだ。
さすが「狐」といったところか。
「これでも、「神」と言われてますよ。」
とは、彼の言である。
だが、怒っていたのは滝川クリスタルだった。
「なんですかコレは!
報道関係者を虚仮にしているんですか!?」
食ってかかる彼女に・・・
雪尾君は、指を鳴らす。
「召喚・・・
コケ!」
どさっ!
「わーッ!」
滝川クリスタルの頭上から、大量のコケが・・・
「な・・・
何をするんですか!?」
「僕たち、「稲荷神」はあなたたちに「虚仮」にされましたからね。
だから、「コケ」を進呈しました。
平和神リケから教わった「神をコケにする輩への罰」の手法です。」
言うと、雪尾君はにんまりと笑った。
確かに、リケちゃんが「神罰」としてよくやってるなあ・・・
「これ以上、僕たちはこの世界に干渉できません。
少なくとも、その知識は歴史に影響を及ぼします。
ギリギリなんですね。
ま。
娘が好き放題やりましたから、説得力ないですが。」
ぴしりと言うと、九本の尻尾を揺らしながら、屋台へ歩いていく。
そして、焼きトウモロコシをかじる。
「コーン棒よりうまい!」
あたりまえだ。
「アレ」は、作り物だし・・・
今度の「コケ」は雪尾君がやってくれました!




