第846話 稲荷神・・・帰る準備・・・
王宮前広場を抜けて、少し歩くと、港に向かう街道がある。
この王宮前広場を囲むようにして「貴族街」がある。
ここは、「一級貴族」の居住地だが、あくまで王家の次男・次女以降が独立して新たな家名を名乗った際に住む場所である。
「貴族」と言っても、キティルハルム王族は大抵「副業」を見つけているものである。
特に有名なのは、「アルム家」。
初代女王の次女にして初代「図書館の騎士団」の隊長だ。
その彼女の子孫は、優秀な軍人やアスリートを輩出している。
画家として大成した女王の次女は、母の名を譲り受けて家名とし、「普及型顔料」の特許とその腕で大成している。
そう。
彼らは、他国の「貴族」のように「政治家」や富豪ではないのだ。
その貴族街を抜けると、職人街・・・
更に行くと商店街がある。
この二つは、ミケランジェロ家の「巣窟」だ。
苦手な人は、好き好んで立ち寄らない。
用がある人は、苦手属性の結界に足を踏み入れるような感覚で訪れる・・・
沿岸部は、評議員の一族や民間人が多く住む住宅街。
更に、リニアモーターカーの駅「キティルハルム王都」駅がある。
「なんだかんだで発展しているなあ・・・」
私は街を見降ろしてつぶやいた。
キティルハルム・ダイヤモンドホテル・・・
ここでは、稲荷神一同が、帰り支度をしていた。
「パパ。
女王様が、パパからもらった「電動虫」を早速使ったって言ってました。」
葉狐が言う。
「そうかそうか・・・
で・・・
「白いG」は?」
「はいです。
「これ、シロアリじゃないか!?」ってツッコミながら研究したみたいです。
DNAデータは作れたものの、「ミケランジェロ一族」の科学導師に渡るとやばいとか言って、封印したそうです。」
「ぷくく・・・!
ははは!」
雪尾は、笑いながら床をバンバン叩く。
「信用ないな・・・
あの一族は・・・!」
「そうねえ・・・
「量産型」ライテスみたいな一族だから・・・」
萌黄も笑いながら引き継ぐ。
「そうですわね・・・
一族が輩出した女神様は、その気になれば「惑星」どころか「星系」全てにいる「人類」から「オナラ」を集めてぶっ放す「オナラ玉」を使ってますし・・・」
ミユが、髪をいじりながら言った。
「なんだか、稲荷町とキティルハルム王都は文化的な面はともかく・・・
空気が似ていますね・・・
稲荷町のご祭神一家も、女王陛下とリケ神を合わせたような感じですし・・・」
ミレイが、荷物をまとめながら言った。
「さあ・・・
元の世界に帰る支度は済んだ。」
雪尾は、水干姿の帯を締めた。
「白いG」・・・
それは、「白アリ」ではありません。(笑)




