第822話 目利き
「珍しく、まともな作品じゃない?」
宮廷画家アニス・ニナが、デザイン画を渡しつつ、ナキに言った。
「今度は、失敗は許されないにゃ・・・」
それは・・・
十二創造神王像・・・
事実上、「最高神」の像だ。
「これで、雪尾君のクリスタルのウンコのパワーを一億倍にも、増幅するにゃ!」
「・・・・・・」
気合いが入っているが、「ウンコ」と言う単語に、ツッコミを入れたくて入れられないジレンマに、アニス・ニナは、襲われた。
「釈然としないけど、かつて王都はその「ウンコ」で救われてるのよね・・・」
一級貴族であるアニス・ニナは、にわかには納得できない。
そのころ、商店街では・・・
「おッ!
お兄ちゃん!
いい目してるにゃ!」
「何でもそろう工具カテリナ」で、「万能彫刻用切削ドリル」を凝視する雪尾。
「これは、最新型にゃ!
アダマンタイトとヒヒイロカネの刃が、交互に材料を削るにゃ!
クリスタルや金剛石はおろか、オリハルコンだって削るにゃ!」
手に取る雪尾。
「いくらです?」
「二万五千ノワールにゃ!」
雪尾は、以前滞在したときの「バイト」で結構稼いでいた。
しかも、ユニィ経由から「クソゲー」の印税ももらっている。
そのお金は、葉狐が滞在費として使っていたのだが、それほど減ってはいなかった。
むしろ増えている。
「買います。」
現金払いの即金である。
「まいど~」
後に、店主は語っている。
「あれは、「マジ」の職人の目だったにゃ!」
職人は、「道具」を選びます!




