第765話 正義の大魔王ここにあり
「不愉快です。」
美しい少女に成長した正義の大魔王テミス・リーブラは、目の前の審判の大魔王アヌビス・アビスを目にして不快感を隠さずにいた。
「地球の「アヌビス神」の姿をしているだけでも不愉快なのに、その「天秤」・・・」
テミスの持つ「天秤」は、地球の神の一人「アストレア」の由来するもの。
善悪をはかる代物だ。
一方、「アヌビス神」は、少し異なるが似たようなもの。
地球のエジプトでは、人が死ぬと、オシリス神が裁判官を務める審判の間に連れていかれる。
ここで、オシリス神は主な生前の行いを記した書を読み上げる。
アヌビス神は、死者から預かった心臓の壺と真実の羽根を天秤に載せる。
ここで、心臓の壺の載った皿が重ければ、さすがに見逃せない罪を犯したとされ、地獄に落ち、天国での生活を許されないというものだ。
「神聖なる「アヌビス神」をコケにしています。
正義の大魔王として、捨て置けません!」
テミスは、正義の剣を構えた。
「捨て置けないなら、どうするのだ?」
アヌビスは、「犬神」の顔で問いかけた。
「斬ります!」
テミスは、きっぱりと宣言した。
正義の大魔王と審判の大魔王の激突です。




