第762話 「闇」の真価
「だが・・・
お前は、学歴社会を呪った男だろう?」
ダイアレートは、ウォルストをじっと見る。
「そうだ。」
「頭がお花畑の勇者と戦い・・・
それでも正しさを曲げなかった。」
「今でも、変えるつもりはない。
が・・・
ライテスと出会い・・・
わかったのだ。
「妻」に「哀しみ」を押し付けたこと・・・
一人の勇者の人生を捨てさせたこと・・・
それがいかに罪深いか・・・
そして何より、キティルハルムの王族を見ていると・・・」
ウォルストは、ふっと笑う。
「悩んでいた自分がバカらしくなる。」
商工ギルドマスターのナキ・ミケランジェロのバカっぷり・・・
ある意味悟りを開いたかのような、女王ミリアム・・・
「わかっていながら、力ずくで「お花畑」に変えてやろうなんて馬鹿馬鹿しいだろう?
だがしかし・・・
やろうとしているのは、すごいのではないのか?」
そして・・・
「先代の天空の勇者の名言もある。
「「闇」は、人を休ませ、傷を癒していくもの。
心の傷をえぐり、絶望させてなんとする。」とな。
さすがは、ライテスの娘だ。
いいことを言う。
そんな「闇」に私はなりたい。」
「綺麗ごとを言うな!」
「おや。
私は、あの女王と同じところまで「格上げ」か?
うれしいものだな。」
ダイアレートになじられたウォルストだが、彼はにっと笑った。
変わったなあ・・・
ウォルストは・・・




