第73話 魚人王国の姫
「さて・・・コンサートの準備は、整いましたか。」
ヘクセンティアール王太子テティス・ヘクセンティアールは、衣裳に身を包むと、会場に足を運んだ。
「最近、何かとヤバいのよね・・・
宇宙連邦と交流が始まりそうだってのに、第六惑星がヤバいっていうし・・・
せめて、自国の国民だけでも安心させてあげないと・・・」
テティス自身、三年前結婚し、二歳になった娘がいる。
「この点、キティルハルムのお姫様と気が合うかもね。」
自身の歌の才能に気付き、人を魅了する術や兵を鼓舞する術を研究するうち、気付けば国民のアイドルになっていた。
「このシステム・・・使わないでおければいいと思ったけど・・・」
海天使システム・・・
地球の伝説の海天使・・・
歌で、船乗りを魅了し、船を沈める魔物・・・
しかし、テティスの進化した姿は、戦場において人の「陽」の感情を高め、「陰」の感情を抑える力を持っていた。
彼女の開発したHMK-001メタルセイレーンは、戦場にいる味方が暗黒神波動で戦っていようとも、その根幹の感情が「陽」である限り増幅するシステムを組み込んだ機体である。
それは、彼女の歌で起動する。
「さあ!みんなが私の歌を待ってるわ!」
テティスは、「進化」し、翼を広げてステージへ飛び立った。
テティスの機体・・・
どっかで聞いたことがあると思ったら、「正解」です。




