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第716話 戦場の結婚式5

見ると・・・


「しゃ・・・

社長・・・!」


「ついに・・・

次期社長の顔が見れるにゃ!」


「おい!

気が早いぞ!」


ファナの部下たちは、皆喜んでいた!


「会長も、心配しておられましたにゃ!」


そう・・・


バルカン重工は、代々の社長が厳格かつ従業員を大事にする人柄なのだ。



「ふむ・・・

あの器・・・

見習うべきかもしれぬ。」


ニニギ殿下が、ライスワイン(日本酒にあらず。米をワイン酵母で醸造したワインだ。)をあおる。


「確か、ミリアム陛下も言っておられたな・・・

貴族主義(ノブリス・オブリージュ)」・・・

「上に立つものは、死んでも退かず・・・

民のために自らの命を盾に張ることのできる者・・・

故に「貴族とうときもの」なり。」と。」


「ええ。

確かに、初代会長のことは残念でした。

しかし、彼女は身をもって実践し、結果優秀な跡取りと従業員を残しました。」


私は、ニニギ殿下に続ける。


「民主主義が中心になっても、地球でその基本は変わりませんでした。

財がある者は財をもって・・・

名がある者は名を使って賛同者を募って・・・

そうして弱き者を救っていたと聞きます。」


「フフフ・・・

きれいごとよ、不可能よと笑い飛ばす者もおるやもしれぬな。」


「事実、アル・ファシルという男がそうでした。」


「くくく・・・

片やそれを否定して、「不可能」だから全てを壊す「邪神」・・・

片やそれを実践して、「不可能」を力でねじ伏せる「女王」・・・

なんともおもしろいことよ。」


「そうですね。」


上機嫌で、ふさふさの尻尾を振るニニギ殿下をそこに残し、私は、そばにあった「グランド・レア・チーズ」にかぶりつく。


「おッ!

陛下!

お目が高い!

これ、僕の最高傑作だよ。」


バッカスが、声をかけてきた。


「あ・・・

甘い!」


「おやつ向きのチーズだね。

結婚式だから、こういうのがいいと思ってね。」





慕われていました!

ファナ社長!

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