第682話 王権を持たなかった家系
「しかし・・・
これほどの武勇を誇っていながら、なぜ「勇者」を名乗らん?
なぜ、王権を欲しない?」
エルナスは尋ねる。
「貴様が言うか?」
アルナスは、肩をすくめる。
「私の欲しいものは、人々の笑顔と幸福だ。
王権なんぞいらん!
それに、この立場ゆえに、数多くの友ができた。
最も・・・
「親友」は、「王」の立場でやっているがね。」
アルナスは、エルナスを憐みの目で見た。
「「ライテス」のくせにわからんとは・・・
だからか・・・
幸福な結末を望むのをけなしたり・・・
立ち上がる者を痛めつけたり平気でするのは!
「正義」を「綺麗ごと」と言って非難できるのは!」
アルナスの神波動が、高まった。
「恐らくは、貴様はマネしかできんだろう・・・!
我が力の源泉・・・
「人間」の中でも、強力な種族のかけ合わせの「混雑種」・・・
それが、我が種族名の「混雑種」の語源・・・
だが、意図して生まれたわけではない!
「愛」の導きがあって誕生した大いなる「遺産」だ!」
「そうして「出る杭は打たれる」というわけか・・・」
「違うな。
できることならば、「そうであってほしくない」と願って戦っている!」
綺麗事を言い続ける総合導師が、ここにいる!




