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第642話 歴史の影のやり取り
私は、疑問があってパスキールパレス内の一級遺跡・旧エレノラ邸に来ていた。
そこは、大きいが質素な感じがする邸宅だ。
少し大きめな二十一世紀の一般的な日本家屋を思わせる。
日が差していて、初代ノワール陛下がテレビを観ながら、ストローの入ったコップを抱えてジュースを飲んでいたであろうテーブル・・・
ノワール陛下や同僚のガチョウおばさんとが、作業をしていたと思われる折り畳み式端末・・・
写本に使ったと思しき複製機・・・
「物悲しくなるわここは・・・」
何せ、先祖がわかっている滅びに・・・
そして、次の時代に備えて準備していた・・・
それでいて、長いこと住んでいた「家」なのだ・・・
「兵どもが夢の跡・・・か・・・」
呟いたとき、独特の神波動を感じた。
「聖なる魔女様・・・」
背後に聖なる魔女が立っていた。
「知ったのですね・・・
「神話の時代」と「高霊族史」を・・・」
「はい。
初代は・・・
なぜ、「あれ」を写本しなかったのですか?」
私は、聖なる魔女に尋ねた。




