第627話 ご先祖様の名に懸けて
ユアンは、キティルハルムのホテルに宿泊していた。
上官である、アルナスに半強制的に、とらされた休暇だ。
「まったく、損な性分ね。
上官に強制されないと休めないとは。」
ユアンは、部屋のテレビを点け、筒状の金属の物体をテーブルに置く。
「私は、パンダ。」
ユアンは、人大熊猫である。
そして・・・
「ぶっ!」
画面を見て、飲みかけた「スパークリングワイン」を吹き出す!
「な・・・
何よ、あの豚人間は!?」
ユアンの家には、先祖がある大魔王と戦った記録がある。
ノワール二世の娘の一人のキティルハルムの初代医局総監や、看護師・看護兵・負傷者を護衛して戦ったのである。
医局総監が、賄いとして「キティルハルムの闇鍋・主菜は豚肉」を作っていたがそれは余談である。
「・・・ッ!
虹色の神波動・・・
ムカつく美形・・・
間違いない!
って・・・
誰?
上空で、ヤツと戦っているのは!?」
ナレーションを聞く。
「本日未明・・・
キティルハルム王国科学長官ファクトリア・ミケランジェロが、極めて私的な理由で開発した「銭湯機」を試運転中・・・
謎の大魔王の襲撃を受け、機は墜落。
氏は、難を逃れたものの、残骸が交易路を寸断。
氏は、大魔王と応戦している模様です!」
「・・・・・・」
ユアンは、立ち上がった。
「ヤツは・・・
「豚の大魔王ルイ」は、私が倒す!
ご先祖様の名に懸けて!」




