第57話 歓迎晩餐会
「おかえりミリアム。
このたびの成果・・・母として誇らしく思いますよ。」
母さま・・・
「女王陛下。この度国際的な事業に勝手に采配をして、申し訳ありません。」
謁見の間にて、膝まずき頭を下げる。
「この子は、他人行儀ねぇ・・・」
母さまは、使節団をぐるりと見回す。
「本来、この部屋は使用されないのですよ。
歴代の王・女王は、使者と「応接間」で「面接」を行っていたのです。
国としても、王家としても「ご無礼」のないようにとのこととして、この部屋を選びました。
このご使者の人数では、応接間は無理でしょうし。」
それにしても、母さま・・・
悠久の図書館を片手に持っていてよく重くないな・・・
と・・・
ズズン・・・
取り落としてしまった。
「「「いッ!?」」」
銀河人たちが、驚愕の声をあげる。
「ご無礼ですが・・・その杖・・・重量はいかほどですか・・・?」
使節団長のフランクリンが、訪ねた。
「そうですねえ・・・」
杖を、まるで木の杖のように拾い上げながら、母さまは答える。
「十キロは、ありますでしょうか。」
くねくねと、尻尾を振りつつ、にこやかに笑う母さま・・・
「歓迎の晩餐会など、用意してございます。」
宮殿前広場に、豪勢な食事が並ぶ。
「ぐううう・・・
タイミングさえあえば・・・「超」レアチーズケーキをお出しできたのに、死ぬほど悔しいにゃ・・・」
言っているのは、ケフィ・ネル・ミケランジェロである。
「な・・・なんですか?その・・・「超」レアチーズケーキとは・・・」
ソフィが聞いてきた。
「百年に一度にしか採れない小麦粉、
十年に一度にしか採れない卵、
二百年に一度にしか作れないチーズ、
五百年に一度にしか採れない砂糖を使用し、「神童」とされるパティシエによってのみ作られるチーズケーキです。
彼女は、かつてこれを完成させましたが、もはや材料がないので作れないのです・・・
ちなみに私は、イリアとのデートで食べました。
うう・・・思い出しただけでもよだれが・・・」
「「レア」の意味・・・違いますよ・・・」
さすがに、ノワールオオウナギは間に合わなかったが、古代鮫やヒグマが「闇鍋」の具になっているようだ。
「板メシお待ちにゃ!」
ミケランジェロ一族と思われる給仕が、「板」に盛られたご飯を配っていく。
「なんですかコレは!?
美味しそうな炒めご飯ですけど・・・」
炒飯や、パエリアのような感じだ。
ただ・・・
「皿」が、巨大なかまぼこの板というか、まな板というか・・・
「ミケランジェロ一族って、「こういう人たち」です。」
ミリアム:この杖・・・
重いのです。




