第571話 メタリック・コブラ2
「!!!」
エンペラーコブラは、幼女・・・
稲荷葉狐を見る。
彼女は、スプレー缶を手に、にこにこと笑っている。
わずかに見える、キツネの三本の尻尾がぶんぶんと、左右に振れている。
そう・・・
元来、動物の子供とは、人間の子供以上に、いたずら好きである。
人間の子供が、比較的成長するといたずらをしなくなるのは、親のしつけによるものだけではあるまい。
それに比する「趣味」を成長のうちに見つけるからだ。
「パパは、メタリック塗装は下地にシルバーを噴いて、クリア仕上げで、発色がよくなるって言ってたです・・・
にゅふふふ・・・」
相手に向ける!
「そ〜れ!」
ぶしゅーっ!
エンペラーコブラの尻尾が、銀色に、染まる。
「おおう!
きれいです♪」
彼女の父親は、子供の頃は「ガキ大将」だった。
大量生産した「ウンコフィギュア」を、仲間に配布したり、仲間を率いて「春の小川」を合唱しながら、小川に、「酒」をぶちまけたり・・・
そう・・・
いたずら好きだった、かつて「クソガキ」と称された父と、それにまともに付き合って一緒に遊んでいた母の血を受け継いでいるのだ。
「うーん・・・
一本で、足りるですか・・・?」
葉狐は、妙な心配を始める。




