第53話 パスキール・リニア・エクスプレス
その列車は、隣接するすべての大陸に行くことができる鉄道で、リニアモーターカーが走っている。
「ようやっと、国に戻れる・・・」
私は、共にエコノミー席のイリアを見た。
「にゃー・・・」
グロッキーになったナキは、ハンスに、なでくりまわされている。
「これ・・・車両が浮上して走行してますよね・・・どういう・・・」
「はい。リニアモーターカーです。」
「???」
「車両とレールが、電磁石になっていて、引力と斥力で「浮上・走行」しています。」
質問してきたソフィが、固まった。
「魔法力と電力でやっていますが・・・」
「わ・・・わかります・・・原理の方は・・・」
そりゃそうだ。
「この鉄道は、古代の復刻なんです。
それまで、船で渡って、それはもう不便だったそうです。」
「って・・・
無意味に便利・・・」
そういえば・・・
というようにソフィは、質問してくる。
「王都キティルハルム・・・どんな場所ですか?」
うーむ・・・
そうきたか・・・
「そうですね・・・
地球でいえばかつてのモナコ公国のような感じですかね・・・
町の北西部に山があり、そこに王宮・・・
併設されているのが、王立図書館です。」
やがて、大陸が見えてくる。
「基本的に、リシテアールの書物の八割は収蔵されています。古くは、古代文明のものから最新のものまで。」
「エジプトの王立図書館のようですね。」
「ええ。そのまま近代化したらこうなるという見本といいますか・・・」
「さぞ宝物というべき本があるのですね・・・」
うあ・・・
変な本が多いんだよ、うちは・・・
そんな仏を見るような目で見るな!
「初代女王のウナギのレポート、
初代宰相の媚薬合成法、
ノワール二世がエレノラ邸から回収した初代女王の私物などです・・・」
他にもまともなものは多いが、すぐに言われて思い当たるものがこれらだ。
ううッ・・・
目指したものと現物が、かけはなれてる・・・
ギャーっ!
変なものが多いよーっ!
意外と「線路」は長いです。




