第532話 猫邪神は・・・
悪の超魔王・猫邪神ノワールは、パルパスが持ち帰った情報から複製した音楽を楽しんでいた。
「なんでしょう・・・
胸クソ悪くなりますね・・・」
ラブソングやバラードを聴いては、心底そう想うのである。
「不思議なのは、なぜかこの類の曲を聴いて私と同じ感想を持っても、俗世間への憎悪に繋がる感情を持つ者が少ないということです・・・」
そんなときだった。
ドアをノックする音が聞こえる。
「入りなさい。」
声をかけると、ドアを開けてライルが入ってきた。
「アルナスという女・・・
手ごわく感じます。
あの歌にあわせて動くゴーレム・・・
あれも侮れません。」
「あ○さ二号とかいう・・・
そういえば、キティルハルムの商工ギルドマスター補佐のナキ・ミケランジェロという女も、パルパスを痛めつけるまでになっているとか。」
「まったく・・・」
ノワールのテーブルに、彼女と自分の分のお茶を出し、言葉を続けるライル。
「前線級の魔法防備の着ぐるみを着て、償還魔法で鈍器を召還するくらいです。
さすが、ミケランジェロ一族といわざるを得ません。」
代々の商工ギルドマスターには、女王の護衛をし、大魔王を火炎瓶と火炎魔法で「焼いた」者すらいる。
「まだまだ私も学ばねばなりません。」
「御意に。
及ばずながら、お手伝いを。」
ライルは、ノワールの手をとった。
これも一つの「愛」だろうか・・・
二人は、ミリアム女王以上に矛盾していた・・・




