第524話 天空船遊覧
リシテアールでは、飛行機が発達しなかった。
しかし一方で、浮遊魔法や反重力推進を利用した「天空船」が発展した。
一部の科学導師が、主翼に風を受けることで飛行する「航空機」の開発に着手している。
「やっぱり、最初に「飛んだ」のが「ホープメイカー」だったからでしょうねぇ・・・」
パスキールシティの上空を旋回する天空船の客席で、イリアが言う。
「そりゃ、「飛ぶ」方法が「アレ」なら説得力はどっちにあるかってね。」
私は、眼下に見えるホープメイカーを見て答える。
「地球では、天空船と似た原理の「飛行船」を使用していたものの、それより前から錬金術師や科学導師が、風を捕まえて「浮かび上がる」秘法を研究していたと聞きますが。」
「ええ。
「万能の天才」と称される「錬金術師」「画家」「科学導師」「医者」・・・
これらを兼ね備えた芸術家が、「飛行機」や「ヘリコプター」の設計を行っているわ。
やがて、複数の主翼で風を捕まえて、「飛ぶ」ことに成功した技術者がいた。」
「でも、リシテアールでは発展しませんでしたね。」
「ええ。
なにせ、飛行魔法を使ったり、竜族に乗ったりするほうが早い上、地球に比べて「飛ぶ」ってのが「現実的」だったのかもしれない。」
「邪馬台国軍が、魔装甲冑に空専用の翼をつけたりしていますが。」
そういえば・・・
「可変型魔装甲冑なんて、空専用の「飛行機形態」に変形できないかっていう研究があるって、ニニギ殿下が、言ってたわよ。」
うーむ・・・
航空力学の発展は、リシテアールでは需要が低いのかも・・・




