第51話 食事
私は、ソフィと私的な会談をしていた。
「リシテアールの見所ってどこですか?」
「いろいろあるんですよ・・・」
気付くと、イリアが私の尻尾に白いリボンを結んでいる。
満面の笑みで。
かわいいリボンなので許す。
小一時間話をしていたが、結論は出ない。
ぐうう~
は・・・腹減った・・・
「じゃあ、「ミケランジェロ・バーガー」に出前を頼みますね。」
言うと、イリアは小型通信板を取り出す。
「ス・・・
スマホ・・・!?」
「と同じ用途の魔法具です。」
ここ数百年の技術進歩は凄まじく、球体の通信宝珠は廃れてしまった。
携帯のように使える、小型通信版が主流だ。
「クジラのヒレバーガーと、フィレバーガーを各三つ・・・それと、ノンアルコールの「スパークリングワイン」を三つお願いします。
はい。
「王太子控え室」です。
はい。
わかりました。」
その一連のやり取りを聞いていたソフィは、何かに気付いたようだ。
「ちょっと!
「ヒレ」と「フィレ」ってなんですか!?」
言っている間に・・・
「お待たせしましたにゃ~」
小ざっぱりとした、マック風の店員が、バーガーのセットを持ってきた。
「これでお願い。」
「じゃあ、精査機に通していただきますにゃ。」
店員が差し出した精査機にカードを通す。
ピピッと音がして、清算が終わる。
「ご利用ありがとうございますにゃ~」
用の済んだ店員は、帰っていく。
「ソフィ提督は?」
「石化されてます。」
ソフィは、固まっていた。
そりゃそうだろう・・・
「見慣れたもの」を見てしまったのだから。
誰も、「ヒレ」と「フィレ」にツッコんでくれないのです・・・




