第507話 社長・独身宣言
工兵大隊長ファナ・・・
彼女は、物思いにふけっていた。
「もう、いやにゃ・・・」
大魔王となった、アル・ファシル・・・
その原因は・・・
部下に対する横恋慕・・・
結果、ファナは祖母を喪った挙句、心に傷を負った。
「あちしは・・・
誰とも、恋愛しないにゃ・・・」
その日、ファナは私に相談してきた。
「・・・という訳で、あちし・・・
恋愛できないにゃ。」
わかるなあ・・・
王宮の応接間・・・
重々しく、ファナが言う。
「あれ?
怒らないにゃ?」
「怒れないわ。
まさか、この世界でこんなことを考える人がいたなんて思わなかっただけ。」
「病気かにゃ・・・?」
「違うわ。
けど、あえて病気というなら・・・・
「絶食症」あるいは、「嫌婚症」ね。
ただ、恋愛というものに対して潔癖だったり、強い理想をもっていたりしていた人が、それに反する経験を積んだり、あるいは事件にあったりしたとき、発症するわ。
二十一世紀の地球・日本に多かった症例よ。」
「く・・・詳しいにゃ・・・」
「発症サンプル・・・
総合導師ライテス・・・
勇者ルミナリア・・・
総合導師女王ミリアリア・・・」
「えっ!?」
「だから私は、そこからひきあげてくれたイリアしか「男性」としては愛せない。
これからどうするの?」
ファナは、考えた。
「従姉妹の子を、次期社長に指名するにゃ。」
「地球ではね・・・
増え続けたくせに、「理解」されなかったのよ。」
「所詮人は、相手に対する「愛し方」を変えられないにゃ・・・」
ファナの言葉は、私の胸に突き刺さった。
「だから私は、「綺麗事を言う女王」であり続ける必要があるのよ。」




