第49話 過ぎたる科学は
やがて、リシテアールの衛星軌道を、リング状に覆うことになる、その最初の基部・・・
パスキールの門。
最終的には、キティルハルムの門、ラムンセンの門と巨大な橋と太陽光送電衛星を兼ねた環状軌道宇宙基地で結び、防衛・エネルギー供給・宇宙開発を容易にするシステム群となる。
「ばあッ!」
無重力ブロックであるため、乳母に預けてきたユニィが、宇宙遊泳で「流れて」きた。
「おおぅ!元気してた?」
「だううう!ばあッ!」
そこに、案内役の黄金騎士に連れられ、使節団がぞろぞろと歩いてきた。
「あの魔法使いのような少女は?」
「はい。
遭難しかかった我々が、巡洋艦に救助されたあと、接待していただいたキティルハルム王女ミリアム様です。」
フランクリンの質問に、ソフィが答えた。
「耳と尻尾が生えているが・・・」
「そういう種族です。
後、襲い掛からないほうがいいです。
私の見立てでは、彼女の杖は強力な魔法の杖であると同時に、「仕込み杖」のようです。
それに、現在この惑星で五指に入る頭脳の持ち主のようです。」
ひそひそ話で話しているが・・・
私には、しっかり聞こえている。
人猫の聴覚は、人間族の三倍はあるのだ。
ためしに、ぴくぴくと動かしてみる。
「「!!!」」
びびってる。
「ソフィ提督の補足をしましょう。
私の種族は、反射神経・瞬発力などが「人間族」の二・五倍ですよ。」
「「!!!」」
「大丈夫!とって食いやしません。まあ、巨大ウナギならとって食いますが。」
そのときイリアが、ぽこっと私の頭をたたいた。
「またミリアム様は・・・昔からこんなジョークはっかり・・・」
苦笑している。
「過ぎたる科学は、魔法のようだといわれていたが・・・
その逆もしかりか・・・」
フランクリンが言った。
実際、猫の聴覚は人間の三倍です。




