第45話 平和な星
「うーむ・・・」
私とソフィは、パスキールパレス内の旧市街・・・
遺跡となっている、旧エレノラ邸にいた。
「少し広いものの・・・
一般家屋のようですね・・・」
ぐるりと見回し、ソフィが言う。
どうやら、「魔女」のイメージが強烈だったようだ。
「これは・・・」
彼女が目を留めたのは、一枚の写真たて。
そこには、コップを抱えてストローでオレンジジュースを飲む黒猫の姿が映っている。
「この猫は?」
「先祖です。」
ソフィの目が、点になった。
他にも、複写機を使って写本するノワール女王や、翼が生えた少女が個人端末を操っている写真を見るソフィ。
「この作業は?」
「ちょうど、文明の最終期です。
大帝は、文明崩壊を予期し、魔女に国の重要書類やあらゆる技術書を写本することを命じました。
初代女王と、同僚はその助手を務めており、この作業が終わり、最期の戦いに向かう際に保存図書館の館長に任命されました。
初代女王は、その規模を拡大しキティルハルム王国を建国しました。」
「ところで・・・
文明を破壊した科学導師とは・・・どんな人だったのですか?」
きたか!
予測はしていたが。
「医療をメインに行う、遺伝子工学の第一人者でした。
「無」から、材料を「超万能細胞」へ変え、身体の一部を合成する技術を手がけた人でした。
どうもこの人物は、聖職者のような潔癖な人物でしてね・・・
自分が恋愛することや、他者が自分に恋愛感情を持つことを許さない人でした。
ある日、自分に恋心をもったある助手が、自分に気を向けようとして成果の全てを破壊したことで、「果たして人類は、自分の仕事の成果を与えるにふさわしいのか?」と考えた末に、最終結論として「愛こそ悪である。」として、それを排除するには、すべてを破壊するべきと考えたからです。
事実、弱いものや、善良なもの・・・意志の強いものを優先的に殺害対象にしたそうです。」
ソフィは、話を聞き、あることに気付いた。
「その人は、善良すぎたのでしょう。だから、自分に対する善意でも、逆らうものを許すことができなかった。」
そうなのだ・・・
「自分にとって価値のあるものでも、相手にとってそれは、とるにたらないものであることもあります。
ゆえに、この史実はリシテアールでは子供の頃から親から・・・
あるいは学校で教えられます。」
ジュースを飲む黒猫・・・




