第435話 虚飾の大魔王
「では、お願いできますか?」
敵のパスキールパレスにて、ライルが魔導師のエルフに記録装置を渡し、猫邪神ノワールが尋ねる。
「できますよ。
ハルカ博士ほどではありませんが、私も相応の科学導師でしたから。」
エルフは、にっこりと笑う。
「しかし、珍妙な屋敷だったな・・・
銀色の金魚がいたり、レッサーパンダが警備をしていたり・・・
果ては、人獅子専用の罠まであったり・・・」
「初代ライテス・・・
当時最高の研究家だったようですね・・・」
エルフは、ノワールを見る。
「これでも私は、「人間時代」は魔女と呼ばれ、大賢者だったのですが。」
「そうですね。
この世界においては、未だにキティルハルムのいわば「祖母」と言える存在でしたねあなたは。」
「この虚飾の大魔王エレノラ・・・
「総合導師ライテス」の遺伝子情報・・・
解析して見せましょう。」
そこへ、パルパスがげっそりとした様子で現れた。
「うう・・・
また、ミケランジェロに絞られたよ・・・
もうヤダ・・・
あの女・・・」
パルパスの脳裏に、「にゃーははは!」というバカ笑いがフラッシュバックする。
「できますよ。
「最強の大魔王」・・・」
エレノラ・・・
彼女は、この世界においてはキティルハルムの国母・ノワールの主人だった古代文明の魔女その人である。




