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第387話 稲荷の巫女
「よっしゃ!」
ナキは、作業場の神棚に向かう。
そして、手を合わせ、家宝の「これノミ」に祈りを捧げる。
先祖代々、続く儀式だ。
「やるにゃ!」
粘土を、少しずつ盛っていく。
「リケちゃんも頭堅いにゃ・・・
元は、鋳造用に見つけた土だってのに・・・」
最近は、リケは、鋳造のたびに文句を言ってくるようになった。
ぴんぽ~ん・・・
呼び鈴が鳴る。
「はいにゃ!」
がちゃりとドアを開ける。
「あ・・・邪馬台国の巫女部隊のレンさん!
お久しぶりにゃ!」
そこにいたのは、巫女服の稲荷族の少女だった。
「げッ・・・
なんですかコレ・・・」
「カッパの銅像にゃ。」
「うっぷ・・・」
この反応は、正しい。
だって・・・
シスター服を着て、祈る姿の「マッチョなカッパ」である。
すでに八割ほど、原型が出来上がっている。
「わざわざ、こんなものの下絵を宮廷画家に描かせるとは・・・」
「ところで、なんの用にゃ?」
「陛下に打ち合わせを。
後、マイカお姉様に会いに。」
彼女は、この像の由来を知らない・・・
かつて、稲荷町の妊婦が、カッパ像を見て悪阻を起こした事実を・・・




