第386話 趣味の悪い画・・・
「まったく・・・
マイカさんってば・・・」
ナキは、宮殿周辺の「貴族街」へ向かう。
キティルハルムの貴族とは、王族から派生した人々で、卓越した技術を持つ人々だ。
代表的なのが、アルム一族。
代々、図書館の騎士団の騎士団長や銃士隊の隊長を輩出している。
また、ニナ一族は、宮廷画家を輩出しているのだが・・・
「ここにゃ。」
ナキは、アリス・ニナの家の呼び鈴を押した。
と・・・
同時に、天からいかずちが降ってきた。
「にゃーッ!
まさか・・・
いきなり、魔法攻撃にゃ!?」
しかし、なぜか無効化されていた。
「ごつい防御の服にゃ・・・」
胸元が、ハート型にくり貫かれ、腰の辺りまでスリットが入ったチャイナ服だ。
ただ・・・
胸が皆無だ。
「こりゃ、「魔法解呪」じゃないにゃ・・・」
どうやら、謎の魔法防御らしい。
がちゃりとドアが空く。
「・・・ナキさん・・・
全然、食らってないのね・・・」
応対したのは、宮廷画家アリス・ニナだ。
「画伯女王ニナ」の流れを組む、画家である。
「まったくマイカさんは・・・
こんな奴に、デザイン、防御ともに両立した衣裳を用意して・・・!」
藍色のベレー帽を被り、ローブの上に前掛けをしたアリス・ニナは、暗黒神波動を発散しつつ、怒気を放っている。
「なんで、怒ってるかにゃ?」
「怒るわ!」
アリス・ニナの真っ黒な耳と尻尾の毛が逆立つ。
彼女が出したモノ・・・
それは、マッチョなカッパが、シスター服を着たデザイン画だ。
「まったく・・・
あなたは、仕事の度に趣味の悪いデザイン画ばっか注文して!
私、描いていて何度も吐きそうになったわ!」
「ごめんにゃ!」
ナキは、お代を払い、デザイン画を受け取る。
「それにしてもあなた・・・」
「にゃ?」
「胸・・・
ないのね・・・」
「胸なんて飾りにゃ!
偉い人には、わからんにゃ!」




