第39話 遺伝情報保存複製技術
その日私とイリアは、ケインとリアナを伴って、王立図書館にいた。
「どうしました?
私が興味を持ちそうなものって・・・」
すると、二人は何冊かの本を持ってきた。
「「ライテス自伝」、「ハルカ・オガタの遺伝子工学」、「ノワール女王自伝」・・・
これらを調べていたら、共通項が・・・」
「それが、「遺伝子工学」です。」
ケインとリアナが、言う。
「確か・・・
「遺伝子」とは、森羅万象の生物が持ついわば設計情報・・・
ライテス卿が、書かれた「超魔王戦記」にも出てくる・・・」
イリアが言った、「超魔王戦記」は、毎年、暮れのアニメの題材になっている。
私は、転生してからずっと、暮れにはテレビで観ていた。
地球の日本でいうところの、忠臣蔵的な扱いである。
「確か、言っていましたね・・・
ハルカ博士が超魔王になる前・・・
科学導師であったころから実験動物として仕えていたネズミ・・・
実験用マウス一号は、不老不死の身体を持ち、最期は大魔王になるも、「混沌の悟りに目覚めたノワール二世に倒された・・・」
「そう・・・
しかし、イリア殿はどうして彼が、ノワール二世に倒されるまで生きていたか、ご存知か?」
ケインが、意地悪く質問した。
「う・・・うーん・・・」
現在、錬金術においても、「不老不死の薬」はないのだ。
う・・・うーん・・・
もしかして・・・
「もしかして、「複製技術」?」
「正解です。
しかし、ライテス卿は「自分の知る限り、卵子使用の複製技術では、遺伝子は劣化し、下手をすれば、本来の寿命を百年とすれば五十年に減らしてしまう可能性がある。」と記している。」
ケインが、答えた。
「しかし姉様・・・
ノワール女王は、薬品をかけられたわけでもないのに、ドロドロに融かされた人間を見ているわ。」
リアナの答えに私は、少し考える。
「もしかして・・・
遺伝情報とは、人体を建物に例えれば、「骨組み」の役割も兼ね備えているのでは?
それを何かの理由で、「抜き取られた」ら・・・
逆に、それを「完全」に複製情報を保管し、「超万能細胞」に書き込めれば・・・」
「正解です。
更に、「記憶情報」も同じように保管・複製する技術も有していたようで・・・」
ケインが、私の言葉を補足する。
「地球じゃ、そんなことできなかったわよ。」
できてたまるか・・・
そんな、SFのラスボスみたいな・・・
「でも、どうしてこんなことを?」
「確かに凄い技術です。
復活させれば、多くの身体の不自由な人を救うことができる。
その一方でこの技術で超魔王はつくられ、実験用マウス一号は、「不老不死」を得ていたのです。
「老衰」で「劣化」する古い身体を捨て、新しい身体を作成して・・・」
「危険だってことですね・・・」
私の言葉に、二人はうなづいた。
私は、「できる」と考えています。
ただ、「技術」がないだけです。




