第377話 正義の大魔王
「あんた、すごく優秀にゃ。
次世代の大魔王として有望にゃ。」
平和の女神リケは、目の前にひざまずくわずか三歳の少女に告げる。
「光栄ですわ!
このテミス・リーブラ・・・
リシテソル星系の愛と正義のために、粉骨砕身いたします!」
基本はエルフだが、生まれつき光流神波動と暗黒神波動を持ち合わせている。
「あの老師の娘とは、とても思えんにゃ・・・」
「はは・・・
父は、昔からああだったようです・・・」
そう・・・
彼女は、生まれつきの「大魔王」。
血統書付きと言える。
「これより、あなたにこれを授けるにゃ。」
リケが、テミスに輝く剣を渡す。
「あなた向けに調整したにゃ。
聖剣・正義の神剣。
あなたの意思で、神波動にも剣にもできるにゃ。」
「ありがとう存じます!」
大魔王とは思えない微笑を、返礼として返す。
ふわりとした金髪と、歳相応のエプロンドレスが映える。
「心得は・・・
一、万人の正義であること。
二、愛と命を最優先とすること。
三、行き過ぎた正義は、悪であり、必ずなんらかの手段で罰すること。
でしたわね?」
「にゃ。
まあ、現状ではそんなことはまずおきないにゃ。
大概、法でなんとかなっているにゃ。」
「けど・・・」
「にゃ。
「敵」の実態が該当するにゃ。」
そのときだった。
「リケ様!」
「どうしたにゃ?」
巫女が駆け込んできた。
「軌道エレベーターが・・・
キティルハルムの柱が、敵に攻撃されています!」




