第34話 初めての子
「うぐッ!」
その日、私の下腹に激痛が走った。
「おっと!」
イリアが、倒れそうになった私を支える。
「安心なさい。」
母さまだ。
「医療総官ドリス・ミアがすぐ来るわ。
これは、陣痛ね。」
キ・・・キターッ!
このとき私は、気を失い、後にキティルハルム正史のおいて、「我が子を産む喜びのあまり、気絶した女王」として記されることになる。
うあ・・・
みっともねぇ・・・
「吸って・・・吐いて・・・吸って・・・」
ううッ!
痛い!苦しい!
思うのは、「子作り」の行為は快楽を伴って愉しいのだが、なぜ出産が苦しいのかだ。
「ミリアム様!」
イリアが、手をしっかりと握っている。
うれしい。
何時間経っただろうか・・・
そのとき、ずるりと産道を何かが抜ける感覚と共に、唐突に頭に何か閃くものが・・・
「おぎゃあ・・・おぎゃあ・・・」
「元気な女の子ですよ・・・って・・・姫・・・背中に翼がございます。」
生まれた子を産湯にいれ、ドリスが指摘する。
「あ・・・あの~赤ちゃんにはないんだけど・・・」
ツッコむ。
「あなたさまのことです!
まったく・・・ご出産のときにボケられなくてもよいでしょうが!」
ごもっとも。
「ミリアム様・・・まさか・・・出産で「覚醒」した方は、邪馬台国のオトタチバナ皇后以来ですが・・・」
イリアは、赤ちゃんを抱いて、そんなことを言っている。
あるのか?
こんなこと!?
覚醒しております・・・
「国母」だけに・・・




