第323話 照り焼き
「照り焼きにしてみたにゃ!」
ユニィは、ナイフで切り、フォークで口に運ぶ。
「お・・・おいしいの・・・!」
そもそも、キティルハルムの民が悪食になったのは・・・
彼らの「母親」であった初代女王ノワールが、料理下手であったことに端を発する。
なにせ、祝い事にオオウナギや人食い熊を闇鍋で食す他、毒蛇や野を走り回る鳥を狩ろうとは普通は思わない。
とはいえ、初代評議委員や第一世代の国民たちは、「王立図書館」の知識で学び、料理ができるようになっていった。
やがて、貿易や国家間の往来で、様々な知識を身につけ、豊かな食事ができるようになったのだ。
しかしながら、「クセ」というのは抜けない。
「外交女王」ニウ二世だって、狼を返り討ちにして、その場で食しているのだ。
「今度は、鼻毛野牛に挑戦したいにゃ。」
「は・・・鼻毛野牛・・・」
胸毛が物凄い「胸毛野牛」という野牛がいる。
凶暴な動物で、人里には被害しか与えない。
故に、種族問わず恰好な狩りの獲物としている。
それの亜種が鼻毛野牛だ。
髭と一体化したように見える「鼻毛」が特徴である。
いずれも、「肉」はうまい。
「楽しみにしてるの!」
ユニィは、満面の笑みで応えた。
胸毛野牛
バッファロー系の野牛。
肉食性。




