第318話 労働現場
その日、事件が起きた。
旧バルカン工厰・・・
現バルカン重工本社工場。
リリ・バルカン・ミケランジェロ会長が経営する「艦艇装甲鈑工程」で、深夜に爆発事故が起きた。
その翌日のこと・・・
彼女は、緊急記者会見を開いた。
「この度は、女王陛下や評議委員の皆様、並びに国民の皆様から、お預かりした従業員や工場を損失したことを、深くお詫びしますにゃ!
ついては・・・」
リリは、ナイフを取り出す。
「真相が、解明次第、社長の任を降り、「切腹」する所存ですにゃ!」
滂沱の涙を流しながら、「宣言」する。
「わーっ!
社長!
いくらなんでもそれは!」
専務の、カナ・バルカン・ミケランジェロが止めに入る。
電算機通信網の「つぶやいたァ」で、「切腹には介錯が必要。」と書き込んだ使用者の掲示板が、炎上した。
文句のツッコミは、「バカか貴様!死ぬんじゃねえバカだっての!」や、それに類する「返し」が殺到した。
「ぶはっ!」
私は、朝食の松茸味噌汁を噴き出した。
「汚いの・・・
朝ごはんの途中なの。」
ユニィが、おなかをさすりつつジト目で私を見る。
「松茸ご飯に、松茸味噌汁・・・
松茸ふりかけ・・・
もう飽きたの・・・」
邪馬台国に輸出したら、ウケたんだよなあ・・・
そりゃ飽きる。
「しかし、何があったんでしょうか・・・?」
私が噴き出した味噌汁を拭きながら、イリアがテレビを見る。
「従業員一人の命を守れないなんて・・・
経営者失格にゃーっ!
あちしは・・・
腹を切るにゃーっ!」
「やめるにゃーっ!」
修羅場だ。
しかし、私にとっても他人ごとではない。
私は、情報板を取り出した。
「もしもし・・・ホームズ?
ええ・・・
依頼よ。
あの、リリがあのようなことに・・・
信じられない・・・
必要な書類は後で送るから、調査をお願い!」
「爆発事故」の場所には、女性従業員の遺体があったという・・・
まさか・・・
そう。
謝罪している人に、「謝罪しろ」とは愚問です。
許すか、許さんの二択です。
「なに言ってるかわからない。」は、関係を「喜んで絶ちたい」人のたわごとです。




