第316話 理屈でなく許せないもの・・・
「ん・・・?
「証人」から、入廷の希望にゃ。
許可するにゃ。」
アリシアは、「入廷希望」に許可を出す。
入廷してきたのは、神官エリナーゼ・・・
枢機卿アルコンの娘だ。
「証言の許可をいただきたいと存じます。」
「証人・・・証言を許可するにゃ。」
「はッ・・・」
エリナリーゼは、口を開く・・・
「私はかつて、キティルハルムの民とルカ様の「和解」の際にお見せさせられた「編集映像」を観たことがあります・・・
当時、犠牲になられたリケ様の姿と、それを陵辱して「殺した」神官兵の姿は、幼心に「万死に値する」と感じました。
かくも、たやすく人は宗教も前に倫理を喪うのだと・・・
リケ様はご理解しているからこそ、ご自分の教団を立ち上げず、啓蒙にとどめている・・・・
頭が下がるばかりです。
極めて私的ですが・・・
このような当家の罪を問わない、リケ様のご慈悲に感謝する一方・・・
「それ」が許せないのです・・・!
あえて、当家とのつながりを感じながら、父を追い返すに留めたご慈悲を無碍にした父も、先祖も許せない・・・!
これまであった、縁談はすべて白紙にされました。
ゆえに私は、当家を断絶するため、子宮摘出手術を受けました。
リケ様は、お怒りになられるかもしれません。
しかし・・・
私は、「絶対の巫女」となることをここに宣言いたします!」
「・・・ま・・・まさか・・・
月光の処女神を再現しようとする女性が現れるなんて・・・」
私は呟いた。
そう・・・
地球の神の一人ゼウスの娘・アルテミスもまた父を憎んだ故に、「絶食神」となったんだっけ・・・
こういう人が、多いのです・・・




