第313話 布告
「これを、どうなさるので?」
枢機卿ニアスは、教皇に尋ねる。
「決まっていますよ。」
ニアスは、ひっ!と息を飲む。
教皇の表情が、光もかくやという速度で、邪悪に歪んだからだ。
「これを、大量印刷して、要所にバラまきます。
何・・・
この紙自体は、ただの紙です。
しかし・・・
重要なのは、書かれていることです。」
「まるで、地球の「免罪符」ですな・・・」
「ふふふ・・・
あれは、偽聖職者が、神の許しを得ずに発行した、紛い物です。
リケ神自身、ご本尊になることは、望んではおられません。
阻止しましょう。
犯罪にならなければ・・・」
教皇の笑顔が、にこやかになる。
「手段を選ばずともよいのです。」
そのころ・・・
リケ神殿では・・・
「お売りください!
「リケ像」を!」
「嫌にゃ!」
なんと!
物好きな商人が、リケに彼女の像を買い取ろうと交渉していた。
「だめにゃ!
アレは、母ちゃんの形見にゃ!
無量大数ノワール出されても売らないにゃ!」
「もっといい神像を・・・」
「アレでいいにゃ!
欲しいならナキさんに注文してつくってもらうにゃ!
ナキさんは、一万ノワールでいいって言ってたけど、今はいいにゃ。
まあ・・・
型を取りたいならそれでいいにゃ。」
「くッ・・・」
商人は、すごすごと帰っていく。
「なんと頑固な女神だ!」
悪態をつく。
すると・・・
ガンッ!
「痛てッ!」
突然、空から降ってきたそれは、商人の頭を直撃する。
「タ・・・タライ・・・?」
タライである。
-にゃーははは!
「神」に無理強いしようとした「天罰」にゃ!
コレはあげるにゃ!
これにこりたら、今度はマシな商談を持ってくるにゃ!-
「~~~ッ!」
商人は、歯噛みした。
リケ神の「タライ」
彼女の「神罰」の定番。




