第298話 資料
「こりゃ、ゲームブックみたいね。」
「なにそれ?」
一つの性格に対する「対処法」を書いている私が言うと、実験用マウス一号が聞く。
「地球の日本で流行ったことのある本よ。
Aに対する答えは?
Bであれば、1へ。
Cであれば、2へといった具合に。」
「ふーん・・・
だと、この場合、1だったら、財宝をGET。
2だったら、怪物にやられてお陀仏みたいな?」
「まあね。」
そんな単純なものじゃないが、データだけ記すとそう見える。
「でも、それで争いが減り、「最悪の事態」が少しでも遠のくのならいいだろう。」
イリアが、私の尻尾を撫でる。
なんか気持ちいい。
「とはいえ、全部はきついよ。」
確かに。
しかし・・・
「いくつかのパターンに収束するのよ。
それに、「自分の性格」「状況」をあてはめる・・・」
「あ・・・それ・・・
ライテス君が得意だったな・・・」
「うむ。
確かにあやつの得意分野だったのお・・・」
実験用マウス一号の言葉に、老師がうなづく。
「相手の性格や状況に応じて、作戦を考えるのが得意だった・・・」
「心理分析・・・!
犯罪捜査にも使われた手法よ・・・」
「しかし・・・あやつも、ぶっ飛んだ戦略家だったのう・・・」
老師が、しみじみと言う・・・
「まさか、戦艦で殴ってくるとは思わなかった。
アルテ君みたいなこと言っちゃったよ僕は・・・
「あのアホ総合導師、何考えてやがる!」ってね!」
「おうおう・・・!
あのときお主は、顔面蒼白だったのう・・・!」
「く・・・黒歴史だよ!」
とにかく・・・
地味に忙しい作業だ。
ただ・・・
そこから「外れる」人との対話が難しい・・・




