第29話 親になってわかる・・・
「初代も言っておられたらしい。
「親になって、親の苦労がわかる。」と。
娘のルミナリアの教育には手こそかからなかったが、ほとほと困っていたらしい。」
アルナスは、私の診察をしてそう言った。
「まあ、私はまわりに振り回されていますが。」
「わかる!
特にミケランジェロ一族だろ!
味方であると笑かしてくれるが、敵にまわすとこれほどコワい一族もいない。
特に粉末合成爆薬や火炎瓶をぶん投げて攻撃魔法をたたきこんでくるからな。
あの「にゃーははは!」というのがコワい。」
事実、やったヤツがいる。
「わ・・・わたし・・・
医療総官を呼んでまいります。」
「うん。わかった。」
ワッフルが駆け出し、イリアが、私の耳を撫でる。
「しかし・・・あなたの夫は、大した男だな。常に側にいる。
「猫」というのは薄情なものだと思っていたが、それは無礼な偏見だったようだ。」
「それは・・・まあ、私自身、「猫」になったことをいいことに、愉しんでいましたが・・・」
「「郷に入らば郷に従え」か・・・おや。」
アルナスは、イリアの少し警戒する視線に気がついた。
「ははあ・・・補佐官殿は、恐らく私の「血」に少し本能的に警戒しているのだろう。」
「えっ?」
今度は、イリアが面食らった。
「ライテス家は、「人間族」「エルフ」「人狼」「竜族」の血が混ざっている。
特に、「人狼」の血に反応しているとみえる。
姫も、補佐官殿も、女王が二人も人狼の血をひく者に「怒られた」経緯があることをご存知だろう。」
そうだ・・・!
そうだった!
ニウ二世は、おせっかいを焼きすぎて初代ラムンセン王妃に・・・
ノワール二世は、遺跡発掘にかこつけてお宝を「盗掘未遂」をライテス卿にみつかって・・・
それぞれ、
「怒られて」いるのだ。
「アルナス殿・・・それって・・・「犬に怒られた猫」って言ってませんか・・・?」
「おや・・・あえて口にしなかったのだが、なぜご自分で言ってしまわれる?」
「~~~・・・」
イリアは、耳を倒してうなだれていた。
特に、ライテス家のキティルハルムびいきは初代からです。




