第290話 ナキの葛藤・・・
ナキは、その日・・・
エメラルド色の「グリーンクリスタル」を前にしていた。
「趣味が悪い?
よく言われるにゃ。
理解者が少ない?
王立美術館の館長くらいだってのは、どうでもいいにゃ。」
意を決すると、神棚の「これノミ」に祈りを捧げる・・・
「やるにゃ!」
ナキは、電動ドリルを手に取る。
「燃えるにゃ!
高まるにゃ!
あちしの神波動よ!
奇跡を起こすにゃ!」
戦っている訳でもないのに、すごい気合の入れようだ。
否、「戦い」なのか?
すごい気迫で、クリスタルを切削していく。
やがて、形が見えてくる。
そこに浮かび上がったのは、やたらとマッチョな男が「エダマメ」の束を持った像・・・
「銘は・・・
「エダマメン」にゃ!」
そして・・・
夫や自分の亭主と共に帰宅した、ミラはコレを見て絶句・・・
「趣味悪いにゃ・・・」
「黙るにゃ!」
「・・・・・・!!!」
「あちしは、あちしの道をいくにゃ!」
「けど・・・
陛下や姫様にも、言われてるにゃ・・・
あの「人間椅子」でも迷惑かけてるにゃ・・・」
「芸術は、時に孤高なものだにゃ!」
「メシを食うことも、考えるにゃ・・・」
「ぐッ!」
「母ちゃん・・・
評議員の仕事の給金は、「一般の作業員」と同じくらいにゃ。」
無論、一般の作業員とて、生活どころか余裕のあることはできる。
しかし、商工ギルドマスターは、それ以上であってもおかしくはない。
「あちしが、「この仕事」で食えんとでも!?」
「言ってるにゃ。」
厳しい娘の一言だった・・・
ミラ:母ちゃんは、腕のいい職人にゃ・・・
真面目に仕事してりゃ、一般人の優に二倍以上の生活ができるにゃ・・・
もったいないにゃ・・・




