第289話 リケと教皇
温泉でくつろぐ、リケ。
「うーん・・・
おなかが浮くにゃ♪」
ぷかぷかと、おなかを浮かべてその浮遊感を愉しむ・・・
しかし・・・
「リケ様!」
一人の売り子の神官の少女が、駆け込んできた。
「なんだにゃ?」
「お客です・・・!」
「今、行くにゃ・・・」
温泉からあがる・・・
どうやら、平和トークやお土産屋の客ではないようだ・・・
「・・・教皇・・・」
そう・・・
アトランティアのリアエーヌ教皇だった・・・
「あなたにお願いがあります。」
「なんだにゃ?」
アトランティア教皇と、リケはいわば「商売敵」である・・・
「公式に、「リケ教」は廃止していただけないでしょうか?」
「布教なんてしてないにゃ。」
「しかし・・・」
「あちし・・・
自分の経験と、王立学校・・・
陛下から学んだことで、「神様が布教」するとろくなことがないってわかったにゃ。
それが、例え「代行者」を立ててもにゃ。
地球では、ある神様の子が、みんなを救いたいって思って教団をたてたにゃ。
多くの犠牲を払って、地球の三分の一を信者にして自分の想いを伝えたにゃ。
けど、そのお父さんの代行者の教団といまだにケンカをしているにゃ。
だから、そもそも「そんなこと」はやらないで、「どうすればいいか」ということをみんなと話し合うにゃ。
あちしは、ずっといるにゃ。」
「でも、ウチの神官がずっと・・・」
「大体・・・
前の戦いで、ルカ様が「わざわざ」この星系にこられたのは、なんのためだにゃ?」
「!!!」
教皇はわかっていた・・・
「自分が姿を顕すことで、その存在を知らしめるためです・・・」
「「人は疑い深いから信じない」?
違うにゃ。
永いこと神様がいないから、「信用」しないにゃ。」
リケは、教皇を見た。
「だから、あちしは「神様目線」じゃなくて、「人間目線」で人と人がどうすれば平和に・・・
幸せに生きられるか考えるにゃ。
言ってることは、同じかもしれない・・・
けど、あちしは「教祖様」になったら、彼らと一緒だと思ったにゃ。
帰って伝えるにゃ。
「「リケ教」は存在しないし、設立されない。」って・・・
あちしは、「死んでた」ころアリシアさんとあなたの会合をここで、見ていたにゃ。」
「!!!」
「だから、わかっているものだと思っていたけど・・・」
「仕方ありません・・・」
教皇は、あきらめたように言う。
「では、一切お断りしてください。
「宗教勧誘の類」全て。」
「ふっ・・・
わかったにゃ。」
二人は、手を握った・・・
リケ神の方針・・・
それは、「宗教」で人を縛らないことです。




