第26話 結婚式3
教皇の祝辞が終わり、アリシアがマイクを持って躍り出た。
「さあ!
皆様!祝うにゃ!
騒ぐにゃ!闇鍋にゃーッ!」
「キティルハルムの闇鍋」。
かつては、初代女王が国民に振舞うために始めた行事のメイン料理だった。
って・・・
ミケランジェロ一族は、ある意味「闇鍋」と共にあった一族でもある。
なぜか、「キティルハルムの闇鍋」が嫌いな奴が、一人もいない。
変わった一族だ。
「あれ・・・口許・・・」
イリアの口元が、スープで汚れていた。
「んちゅッ。」
私は、ぺろりとなめる。
おおッ!
照れてる!
かわいいなあ・・・
私の亭主は・・・
そういえば、今朝は・・・
ってことは・・・
むふふ・・・
目指すは、ライテス卿!
目標は、目下キュリー夫妻なのだ!
「姫・・・いえ・・・ミリアム様・・・
キュリー夫妻って誰ですか?」
口に出てたか・・・
「地球で有名な、科学導師夫妻よ。
亭主ピエールも妻マリーも優れた科学導師だったの。」
「じゃあ、子供も科学導師だったんですか?」
「そう聞いているわ。」
日が陰り、夜になっている。
夜・・・
私が彼といるとき、最も好きな時間だ。
だって、彼の目がきれいに見える時間だから・・・
「愛してる・・・」
前世で、これほど単純かつ嫌った言葉はなかった。
「愛してます・・・」
でも、耐えないとな・・・
少なくとも、終わるまで・・・
地球の歌を歌ってみた。
「翼を下ください」だ・・・
「飛べますよ・・・」
イリアが、言った。
「僕たち、人猫が、悟りに至ったとき、「猫神」となるそうです。
ノワール二世は、その翼で、飛行魔法の使用魔法力を抑え、「飛ぶ」ことができたそうです。
勇者ルミナリアも、その翼で「飛んだ」とか。」
「絵空事じゃないのね・・・」
「ええ・・・」
夜は、更けて行った・・・
キティルハルムの祭事は、ミケランジェロ一族の長の長が仕切ってました。




