第248話 本当の敵
そのとき、国連軍の各艦・各機に「実験用マウス一号」から、通信が届いた。
「本来、僕たちは、力がたまったら、リシテアールに侵攻する手はずだった。
しかし、リシテアールの民は、なかなかに善良になっていて、僕たちが滅ぼすのを躊躇してしまう存在になりつつある。
現に、一般国民が不満の声をあげようとすれば、王なり政治家なりが、「そうはさせるか。」とばかりに対応法を出す・・・
いや・・・
いい世の中になったよ。
でも、皆を抹殺しようとする大魔王はまだ残ってるんだ。
ご主人様は、「大魔王の半数がリシテアールの民との共存を望むのなら、彼らを率いて残りの半数を滅ぼせ。」って命じてきた。」
私は、この言葉にひっかかった。
「いくら、「超魔王ガルアレート」・・・
ハルカ博士でも、おかしくない?」
「うん。
まず、いつものご主人様なら、残りの大魔王も説得しようと考える。」
いつも、人を食ったような実験用マウス一号が、神妙な表情をしていた。
「君の考えを当てようか。」
要塞空母艦リシテアールにつめた、アルナスが言う。
「かつての、超魔王が正常だとすれば・・・
なにかのエラーデータが、混じっているのだろう・・・
それのせいで、「正しい変化」をしていない。
そこで、最も忠実な君に、「自分を討て」と命じた・・・
そう言いたいのだろう?」
「さすが、あのライテス君の再来といわれる総合導師だよ君は・・・」
実験用マウス一号は、かつての戦いを思い出した。
「君のご先祖様は、総旗艦で「特攻」を仕掛けてきた。
天才的な頭脳と、地球の科学力・・・
変態的で有効な戦術眼・・・
その通りだよ。
そこでだ・・・」
実験用マウス一号は、そこでとんでもない作戦を提案した。
大魔王対大魔王の戦いが!




