第23話 なぜこうなった!
二人で、巨大ウナギを担いで城まで帰ったが・・・
城門前広場には、お祭りのように人が集まっていた。
なかでも、母様は一番忙しく働いていたのだ。
「な・・・なんですかこれは!」
私は、声をあげた。
「じゃあ、その「ノワールオオウナギ」は何?
年頃の王太子がコレを釣ってくるのは、「結婚式」を主催するということよ。」
そ・・・そうだった!
忘れてた・・・!
王宮の応接間の絵に描かれている、鍋をメイン具材は、コレだった・・・
王家の者は、祝い事に「コレ」を釣る。
あと、二代目女王の結婚式に、ヒグマが混ざっていたというのは、余談で、なぜか「気功弾」で「股間」にどでかい穴が開いていたらしいが。
「にゃーははは!
闇鍋にゃ!」
ごすッ!
「キティルハルムの闇鍋」・・・
初代女王が、国民にふるまったのが始まりである「ノワールオオウナギ」の鍋・・・
「あんたも働くにゃ!
進路決めんと、ふらふらしてるくせに!
家継ぐか就職するか決めるにゃ!」
ごすッ!
「痛いにゃ・・・」
ナキが、母親のアリシアに殴られていた。
「姫様と補佐官殿の獲物は、こっちで捌かせていただきますにゃ。」
ルシア庵の店主・システィーヌと、娘のリリーが、まるで刀を振るうかのように「ウナギ」を捌いていく。
「まるで、剣技みたいですねぇ・・・」
「案外、武術を応用していたりして・・・」
やがて準備が整ってくると、私たちは王太子のローブと評議員のローブに着替えさせられた。
永らく、宗教と無縁だったこの国・・・
こういった「祝い事」は、宴会と祝辞のみである。
「さあ・・・各国からも、来賓がいらっしゃっています。席におつきなさい。」
「へっ!?」
登場人物4
アリシア・ミケランジェロ
ナキの母親で、筋金入りの彫刻家。
なお、ミケランジェロ一族の長で、「キティルハルム評議会」のメンバーの一人で「商工ギルドマスター」を務める。
ここでいう、「ギルドマスター」とは、日本で言う「〇〇大臣」に相当する。