第219話 うさぎの騎士
「しかし・・・
なんであたしが、ここにくるかな・・・」
エプロンドレス姿の、人兎の少女が、キティルハルム王都にいた。
名をアリス・ワンダーランド二十八世という。
「まったく・・・
エテ機関長にはまいったよ・・・」
しかし、ブロンドのロングヘアにエプロンドレス・・・加えて人兎というのは目立つ。
「あの人が興味を示しそうなのは・・・
やっぱり、「総合導師女王」よね・・・」
独り言を言うと、アリスは王宮に歩を進める。
「ほほお・・・
やはり、宝石はこのような使い方が理に叶っておるか・・・」
「ええ。
飾り物にするのは、もったいない。」
エテは、距離測定用レンズに使用されているエメラルドを見ている。
「しかし、なんだな・・・
陛下も、かつては人間族・・・
装飾の宝石に興味があると、思っておったが・・・」
「いいえ。
そこは、私は変わり者だったようです。
装飾は、クリスタルで充分。
意味があるのかとね。」
「なるほど・・・
それで、この国の民は質素なのであるか。」
エテは、しげしげと研究素材用の宝石を見ている。
「ま、それでも昔は、宝石の末端価格が安いこの国で仕入れて、他の国で売ろうとした商人がいたそうですよ。
しかし、錬金術師御用達の店屋、機械部品の店にしか宝石が置かれていないことに驚いたそうです。」
そのときだ。
「母さま!
トラルティールから、アリスって人がきたの!」
ユニィが、声をかけてきた。
「むッ!
神聖騎士アリス・ワンダーランド十八世か!」
アリス・ワンダーランド十八世
人兎。
趣味はお茶会。
戦いより、ニンジン畑が似合う人。




