第212話 遅れてきた人
キティルハルム上空に、金色の竜が飛んでいた。
黄金竜ではない。
やがて、竜は国境の検問所の前に舞い降り、人の姿になる。
「・・・!竜族!?」
「いや・・・ちょっと違うぞ!」
検問の兵士たちは、困惑する。
「私は、こういう者で、所要があって来た。」
竜族?が出したのは、名刺・・・
「「はッ!すぐに手続きいたします!!!」」
検問を出て、王都に入る。
「今頃だろうな・・・
「超レアチーズケーキ」ができているのは・・・」
そして・・・
ケフィ・ネル・ミケランジェロの店に入るなり、絶句した・・・
「申し訳ないにゃ・・・
「期限切れ」にゃ・・・
ちなみに、ご成婚前の陛下ご夫妻が、デートで召し上がっていましたにゃ・・・」
彼は、頭の中で逆算する・・・
「・・・!
八年も経っているではないか・・・
く・・・
一度でいいから、食したかった・・・」
「気をお確かに・・・
光竜ストリア様・・・」
慰めるケフィ。
彼の名は、光竜ストリア・・・
二十人いる、「竜神」の一人で、天空の勇者ルミナリアと、光の勇者レイスト・フローラ・ティアムルに「勇者の試験」をした竜神である・・・
竜神・・・
それは、北大陸ベルナードの山頂にある都に居を構える竜族の「親」といわれる存在である。
「ああ・・・
仕方がない・・・
女王と世間話をしてから帰るか・・・」
伝説のチーズケーキを食べたかった、竜神王です。




